2014 Fiscal Year Research-status Report
鉄シリケート融体の広温度域における粘性挙動に及ぼす鉄イオン酸化状態の影響
Project/Area Number |
25420792
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助永 壮平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (20432859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄シリケート融体 / 粘度 / レドックス / 酸化物ガラス / 高温融体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄シリケート系融体のガラス転移温度近傍および液相線温度以上での粘度測定と粘性挙動の理解を最終目標として研究を進めている。平成25年度に、鉄シリケート融体の液相線以上の温度域を対象とした雰囲気制御可能な外筒回転法式粘度測定装置を試作した。本装置は、外筒内(Pt-20mass%Rhるつぼ)内で溶融した試料に内筒(Pt-20mass%Rhロッド)を浸漬し、外筒を回転させた際に内筒にかかるトルク(トルクメーターにより計測)の値から、試料の粘度を決定することができる。平成26年度は、昨年度作製した測定装置について、室温下でのシリコーンオイルを用いた検定、高温用粘度標準物質(SRM2)を用いた高温度域での装置の検討を行った。粘度が既知のシリコーンオイルを用いて、トルク計測値に及ぼするつぼ回転速度と試料粘度の影響について検討を行った。試料粘度を一定とした場合、トルク検出値は、回転速度が大きいほど高い値を示した。また、回転速度を60rpmで一定とした場合において、0.1~3 Pa・sの粘度範囲において、試料の粘度とトルクの値が良好な直線関係(相関係数 > 0.999)を持っていることを確認した。このトルクと粘度との相関関係を検量線として利用し、高温の試料の粘度測定に使用することとした。回転速度60 rpmを採用し、高温用粘度標準物質の粘度測定を行った結果、得られた測定値の推奨値との相違は±5%以内であり、本装置の粘度測定精度は良好(一般に高精度とされている装置で相違は±10%程度)であることが明らかになった。また、装置の酸素分圧の制御についても成功しており、現座Na2O-SiO2-FexO系融体の粘度測定に着手している。また、ガラス転移温度近傍での粘度測定についても、海外の研究協力者と打ち合わせを行い、測定に向けて準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、試作した高温度域(液相線温度近傍)を対象とした粘度測定装置について、予定通り室温および高温下にて検定を行うことができた。また、本研究で試作した装置により、高温の酸化物融体の粘度を高精度に測定できることが明らかになった。一方で、当初予定していたCaO-SiO2-FexO系およびNa2O-SiO2-FexO系の粘度測定についてはいくつかの系で測定が完了しているが、鉄イオンの酸化状態については分析できていない。低温度域での測定については、海外の研究協力者と研究打ち合わせを行い、研究の方向性を決定することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、昨年度、検定が完了した粘度測定装置を使用してCaO-SiO2-FexO系およびNa2O-SiO2-FexO系の高温度域(液相線温度以上)の粘度に及ぼす鉄イオンの酸化状態の影響を明らかにする。また、低温度域(ガラス転移温度近傍)での粘度測定について、海外の研究協力者とともに遂行する。測定した広温度域の粘度データについて、構造の観点から考察を加え、研究の総括を行う。
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