2013 Fiscal Year Research-status Report
純度7Nレベルの超高純度アルミニウムを目標とする帯溶融精製法の高精度・高能率化
Project/Area Number |
25420794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
李木 経孝 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (10136129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 真彦 広島国際学院大学, 工学部, 准教授 (70341188)
中村 格芳 広島国際学院大学, 工学部, 准教授 (80412295)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 帯溶融精製 / 超高純度 / アルミニウム / 残留抵抗比 / GDMS分析 |
Research Abstract |
純度7N(99.99999%)レベルの超高純度アルミニウム材を安定的に精製する技術の開発を目的として、純度6N~7Nレベルの帯溶融精製実験を行い、各溶質の濃度分布の高精度分析から精製メカニズムを明らかにするとともに、溶融域移動制御機構を取り入れた精製システムを構築して、帯溶融精製法の高精度・高能率化を行う。 帯溶融精製の諸条件の検討において、純度5Nの高純度アルミニウム(18×18×900mmの角柱)を素材として、溶融幅およびパス回数と精製効果の関係を調べ、少ないパス回数で高い精製効果が得られる溶融幅が明らかとなった。また、すでに開発済みの帯溶融過程のシミュレーション計算プログラムを用いて、パス回数の進展に伴う、各溶質の濃度分布の変化を求めた結果、本実験結果が裏付けられた。さらに、溶融域の温度分布を高精度に測定する機能を導入し、すでに把握している溶融幅変化と真空度変化の関係と併せて、溶融域移動制御のアルゴリズムの検討を始めた。 精製材の分析・評価において、精製後の試料の各部分から得られた電気抵抗測定用試料(1.7×1.7×60mmの角柱)を4.2K及び300Kで電気抵抗測定して残留抵抗比を求めた。さらに、同じ試料について、各溶質(35~40元素)の濃度分布を、GDMS(VG9000、検出限界0.001mass-ppm)で分析した。これらの結果を総合的に解析した結果、純度7N(99.99999%)レベル以上、すなわち残留抵抗比100,000以上のアルミニウムが精製できたことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した下記の実施項目について、ほぼ目標を達成した。 帯溶融精製の諸条件の検討において、純度5Nの高純度アルミニウム(18×18×900mmの角柱)を素材として、溶融幅およびパス回数と精製効果の関係を調べ、少ないパス回数で高い精製効果が得られる溶融幅が明らかとなった。また、すでに開発済みの帯溶融過程のシミュレーション計算プログラムを用いて、パス回数の進展に伴う、各溶質の濃度分布の変化を求めた結果、本実験結果が裏付けられた。さらに、溶融域の温度分布を高精度に測定する機能を導入し、すでに把握している溶融幅変化と真空度変化の関係と併せて、溶融域移動制御のアルゴリズムの検討を始めた。 精製材の分析・評価において、精製後の試料の各部分から得られた電気抵抗測定用試料(1.7×1.7×60mmの角柱)を4.2K及び300Kで電気抵抗測定して残留抵抗比を求めた。さらに、同じ試料について、各溶質(35~40元素)の濃度分布を、GDMS(VG9000、検出限界0.001mass-ppm)で分析した。これらの結果を総合的に解析した結果、純度7N(99.99999%)レベル以上、すなわち残留抵抗比100,000以上のアルミニウムが精製できたことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3カ年計画であり、当初計画に従って、次のように進める。 平成26年度、精製メカニズムの解明において、前年度の研究で明らかになった精製条件と各溶質の濃度分布から、Mg、Si、Fe、Cu等のk<1元素及びTi、V、Cr等のk>1元素について、精製条件と精製効率の関係から純度7Nレベルに至る精製メカニズムを詳細に明らかにする。さらに、目標の材質(溶質組成、純度)に応じた適正な精製条件について考察を加える。 帯溶融精製システムの構築において、これまでの帯溶融実験では、溶融幅の制御は目視によって高周波出力を制御しており、溶融域移動に伴いある程度の幅変化が発生していた。幅変化に伴う固液界面の逆戻り現象が、超高純度の精製効率を阻害していると考えられる。本研究で扱う6Nから7Nの超高純度レベルでは、この幅変化を極力少なくすることによって、精製の精度及び効率が向上すると期待される。このため、前年度で実施した温度分布測定から得た結果から、溶融幅変化及び真空度変化にもとづいて高周波出力を制御して溶融幅を一定に保つことができる溶融域移動制御プログラムを作成し、これが運用できるように現有の帯溶融精製装置を改造する。 平成27年度、帯溶融精製の適正化において、本研究で明らかになった適正な精製条件を、構築した精製システムに適用し、純度5Nの高純度アルミニウムを素材として精製実験を行い、純度7N(99.99999%)レベル、すなわち、残留抵抗比100,000以上のアルミニウムを安定的に精製する技術を確立する。 研究総括において、3ヵ年の研究成果を統合し、純度7N(99.99999%)レベルに至るアルミニウム帯溶融の精製メカニズムを解明する。さらに、目標の材質(溶質組成、純度)に応じた適正条件の指針を明らかにし、高精度で高能率な帯溶融精製システムを確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
帯溶融精製の諸条件の検討における、純度5Nの高純度アルミニウム(18×18×900mmの角柱)を素材とした精製実験おいて、計画していた超小型熱画像センサを導入し、溶融域の温度分布を高精度に測定する機能を付加した。これによる温度分布の計測結果と、すでに把握している溶融幅変化と真空度変化の関係と併せて、溶融域移動制御のアルゴリズムの検討を進めたが、現段階で完成に至っていない。そのため、高周波電力制御に係るインターフェース類の購入を次年度に延期した。 超小型熱画像センサによる温度分布計測を確立して、溶融幅変化及び真空度変化にもとづいて高周波出力を制御して溶融幅を一定に保つことができる溶融域移動制御プログラムを作成し、これが運用できるように現有の帯溶融精製装置を改造する。この改造に必要となる高周波電力制御に係るインターフェース類の購入経費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)