2015 Fiscal Year Annual Research Report
アフィニティ膜濾過法を導入した遺伝子治療用プラスミドDNA精製プロセスの開発
Project/Area Number |
25420800
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 誠之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00345919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入谷 英司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60144119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラスミドDNA / 精製 / アフィニティ / 膜濾過 / リガンド / 吸着 / 脱着 / 菌体破砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、先天性疾患等の治療を目的として、遺伝子治療や遺伝子ワクチンの開発が活発に行われるようになり、医療品純度のプラスミドDNAを大量生産するのに適した産業レベルでの分離・精製法の開発が求められている。本研究では、スケールアップが可能なプラスミドDNAの精製法として膜濾過法に着目し、プラスミドDNAと親和性のあるリガンドを探索するとともに、リガンドと分離膜とを用いるアフィニティ膜濾過法を確立し、プラスミドDNAの精製プロセスを開発することを目的とする。昨年度に引き続き、菌体内に存在するプラスミドDNAを取り出す工程を検討し、遺伝子治療に用いる場合の安全面も考慮して薬品を極力使用しない安全な手法の確立を試みた。処理後のスラリーの顕微鏡写真、粒度分布、膜濾過特性および液中の核酸の電気泳動分析の結果、電気パルスにより細胞に穴をあけるエレクトロポレーションの導入が有用であることが明らかとなった。リガンドとして選択した酸化鉄によるプラスミドDNAおよびRNAの吸・脱着特性を検討し、吸着挙動はLangmuir式で近似でき、低pHほど飽和吸着量が大きくなることを明らかにした。また、プラスミドDNAとRNAとで脱着特性に相違があることもわかり、これらの基礎特性に基づいてアフィニティ膜濾過条件を設定した。エレクトロポレーションと精密濾過により菌体から溶出させたプラスミドDNAを含む溶液のアフィニティ膜濾過を行い、低pH条件でプラスミドDNAをリガンドに吸着させた後、膜濾過を行うことで多くの不純物を除去した。その後、溶液のpHを徐々に高くすることでプラスミドDNAはリガンドから脱着された。回収溶液の分析の結果、核酸の精製度は高く、分離・精製法としての本手法の有用性が確認されたが、RNAとの完全な分離は実現できず今後の課題となった。
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