2015 Fiscal Year Annual Research Report
塩濃度やpHに依らず優れた低ファウリング性を発現する膜の開発
Project/Area Number |
25420812
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
赤松 憲樹 工学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50451795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ファウリング / 膜 / 水処理 / 改質 / DSC |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,これまでの研究で最も有望と考えられるカルボベタイン系ポリマーをプラズマグラフト法で修飾した膜にフォーカスし,その膜性能を詳細に評価した.平成25,26年度の検討でカルボベタインポリマーの水和状態に,水溶液中に含まれる塩の種類や濃度,さらにはpHが与える影響は認められないことが明らかとなっており,これは我々の開発した膜の低ファウリング性は塩やpHに影響を受けないことを示唆していた.実際,カルボベタインポリマーを修飾していない未処理膜を用いてpH4.0からpH8.2まで溶液のpHを変化させながらタンパク水溶液の透過試験を行い,pHがファウリング性能に与える影響を評価したところ,タンパクの等電点付近のpHのときに最もファウリングしやすい傾向を明らかにした.このpH条件において,カルボベタインポリマーを修飾した低ファウリング膜でろ過試験を行ったところ,ファウリングは全くおこらなかった.すなわちカルボベタイン系ポリマーをプラズマグラフト法で修飾した膜は,原液のpHに依らず高いファウリング抑制能を発現することを実証することができた.また開発した膜はデキストランなどの糖ではほとんどファウリングしないことも明らかになった. 膜性能の検討を進める中で,グラフトポリマーの透過抵抗が予想外に大きなことが新たな課題として生じた.これはグラフトポリマーの含水率が高く,細孔閉塞効果が大きなためであると考えられる.ファウリング抑制能の獲得に重点をおいて検討を進めてきたが,さらに膜の最適化を図るには,透過抵抗とのトレードオフを考えていく必要があることが分かった.
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