2015 Fiscal Year Annual Research Report
解離性電子付着反応を利用する新規なナノカーボン/ポリマー複合化技術の開発
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25420814
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高田 知哉 千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (00342444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40374566)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 解離性電子付着 / 複合化 / 光照射 / ポリマー / 発熱材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、ハロゲン化メチル基を側鎖上に有するスチレン重合体および共重合体を合成し、ハロゲン化メチル基の光解離で生じるベンジルラジカルとカーボンナノチューブ(CNT)との一段階結合形成の観察を試みた。また、光電子発生剤存在下での解離性電子付着によるラジカル生成を経る結合形成について観察した。さらに、応用例として、この方法で得たポリマーとCNTの複合材料への赤外線照射による発熱挙動を観察した。 ハロゲン化メチル基の含有率の異なる重合体・共重合体を使用し、光照射に伴うCNTとの結合形成をX線光電子分光法(XPS)およびラマン分光法で観察したところ、光照射時間の経過に伴うハロゲンの脱離の進行が確認され、ラジカル生成が起きていることがわかった。それと並行し、CNTの構造変化も確認されることから、ポリマーから生じたラジカルがCNT表面を攻撃して結合形成しているものと推測された。この反応は、ハロゲン化メチル基の含有率が比較的低い共重合体でも観察されることから、光解離部位の密度に依存せずに進行する(ラジカルとハロゲンの再結合の影響は少ない)ものと推測された。また、光電子発生剤を添加して解離性電子付着が起こる条件下で反応を行った場合でも、同様の反応が進行することが確認された。ただし現時点では、直接光励起によるラジカル生成と解離性電子付着によるラジカル生成での反応効率の優劣は十分に検討できておらず、今後更なる測定方法の改善などが必要となる。 本研究で得たポリマー/CNT複合材料をフィルム状に成型し、赤外線照射に伴う温度変化をサーモグラフィーにて観察したところ、顕著な温度上昇が確認された。CNTを含まない試料では温度変化が観察されないことから、CNTによる発熱効果であることが確認された。この現象は、本法がCNTを用いた有機発熱材料の作製に応用できる可能性を示唆するものである。
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