2015 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ミクロン粒子の低環境負荷型量産化プロセスの開発とその応用
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25420817
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 徹也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10432684)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソープフリー乳化重合 / 共重合 / 両親媒性モノマー / 炭素繊維強化プラスチック / 界面接着性 / 電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
典型的な油溶性開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いたスチレンのソープフリー乳化重合の高濃度化について実験的検討を行った。両親媒性モノマーであるN-ビニルアセトアミド(NVA)を用いてスチレンとの共重合を試みた。NVAは水溶性でかつ溶解助剤的作用を有するので,難水溶性のスチレンモノマーの水への溶解性を向上させることができる。NVAを添加することにより微粒子析出時間が格段に早まることを目視で確認した(反応温度70度の条件では開始10分で粒子が析出した)。更に本実験では,NVA濃度を増加させることにより,粒子の収率を80wt%にまで向上させることに成功した。得られた微粒子のサイズは,NVA濃度の増加に伴い小さくなった。これは生成微粒子の分散安定性が高まったため,凝集による成長が抑制されたためだと考えられる。その分散安定性に関しては,表面電位は低いものの粒子個数濃度の時間変化がほとんど見られないことから,非常に高いと言える。また電解質を添加しても電気二重層圧縮による凝集が観察されなかった。これらの実験事実により,共重合によって生成した微粒子表面にはNVAが局在すると考えられ,NVAと水との水素結合による水和層立体安定効果によって分散安定性が保たれていると帰結される。この微粒子の応用について,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)への応用を試みた。炭素繊維表面に樹脂成分を含む微粒子を吸着させ,炭素繊維表面と樹脂との界面接着性の向上を試みた所,70%の向上が見られた。界面接着性の制御については,コロイドと電気泳動を利用することで微粒子吸着量を制御することで可能になった。本成果は熱可塑性CFRPの機械的強度の高性能化に発展する技術であると考えられる。
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Research Products
(16 results)