2013 Fiscal Year Research-status Report
流動触媒層反応器の宿命的限界を突破するためのフィードフォワード制御システムの開発
Project/Area Number |
25420819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (00177312)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 流動層 / 触媒反応器 / 非流動化 / 流動化停止 / モル数減少反応 / 圧力変動 / 制御 / 自己相関係数 |
Research Abstract |
ガス体積が減少する反応においては、宿命的に良好な流動性が得られない。工業装置において安定な運転を実現するために、良好な流動性を維持した操作ができるようなフィードフォワード制御システムを提案することを主たる目的として研究を行った。本年度は、非流動化の前駆体を早期に検出する手法を確立した。流動層の上部が固定層となって、チャンネルが発生すると圧力損失は低下し、チャンネルが閉塞して粒子塊がリフトされる場合には圧力損失が上昇する。また、このような現象が起きる前にエマルション相は収縮するはずで、圧力変動の周期に影響が出ると考えられる。したがって、工業装置においては、圧力変動の測定から流動化状態を推測する方法が現実的と考えた。本研究においてはガス体積減少を伴う反応として二酸化炭素の水素化反応を行い、層底部における圧力をオンラインで測定してその信号をコンピュータに取り込み、解析を行った。解析で用いた指標は、圧力変動の平均、圧力変動の標準偏差、自己相関係数および優勢周波数である。サンプリング幅を0.6 sに設定し、流動性の悪化を検知するためにそれぞれの指標における最適なしきい値求めた。その結果、流動性の悪化が起きたケースのうち53.1%のケースで自己相関係数による検知が最も早く検知しており、圧力損失による検知よりも平均で0.75 sほど早く検知できた。これは、非流動化によってエマルション相が凝集して圧力損失の上昇や低下が起きる前に、エマルション相の収縮によって気泡挙動が影響を受け、圧力変動の周期性に早く影響が現れた結果と考えられる。また、非流動化の原因であるエマルション相の収縮メカニズムを調べるために、流動化ガスを切り替えることによって、非流動化現象を観察した。さらにガラスビーズを充てんした固定層における実験により、層内の圧力変化の原因が分子の拡散速度の違いによることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、流動触媒層反応器においてモル数が減少する反応を行う場合に良好な流動性を維持した操作ができるようなフィードフォワード制御システムを提案することを目的としている。そのためには、まず、流動性の低下を迅速に検知する方法を確立する必要がある。本年度は、反応器底部での圧力をオンラインで取り込むことによって、圧力変動パターンから流動化の状態を検知することが可能であることを明らかにできた。したがって、研究の最終目的を達成するための本年度の計画は予定通りに達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は圧力変動パターンをモニターすることによって流動性の低下を検知できることが分かった。平成26年度は流動性が低下して非流動化が起きる前の前駆体を破壊する方法を中心に検討を行う。そのために、前年度と同様に、流動層反応器において二酸化炭素の水素化反応をモデル反応として利用して検討を行う。この場合、反応温度を高くすることによって、反応速度さらにはガス体積減少速度が大きくなり、非流動化が起きやすい条件が実現できる。流動性の回復のために検討する方法は、研究計画に記載した通りで、イナートガスの添加、反応ガスである水素の流量の増加、二酸化炭素の供給停止、流動化ガス速度のパルス的変化である。これらの検討によって得られた知見をもとに、平成27年度は、流動化状態のオンラインでモニタリングしながら良好な流動状態を維持できるようなフィードフォワード制御を行う予定である。
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