2013 Fiscal Year Research-status Report
アニオン交換性層状希土類水酸化物を基盤とした新規固体触媒の設計と協奏機能の開拓
Project/Area Number |
25420824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60437358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 層状希土類水酸化物 / 層状イットリウム水酸化物 / 固体塩基触媒 / クネベナーゲル反応 / 水溶媒 |
Research Abstract |
本申請研究では,アニオン交換能を有する層状希土類水酸化物の化学的・構造的特性を巧みに利用し,無機マトリックス中への複数の反応活性点を同時に集積するのみならず,層状構造を形成する基本層をも触媒活性点として機能させることを目的としている.希土類元素の中で,イットリウムカチオンから成る層状水酸化物(Y-LRH)の合成に成功し,長鎖アルキル基を有するカルボン酸アニオンをピラーゲストとしてインターカレーションし,層間隔の精密制御を施した各種触媒を合成した.合成した触媒は,水溶媒中でのシアノ酢酸エチルとベンズアルデヒドとのクネベナーゲル反応において高い活性を示し,有効な固体塩基触媒として機能することを見い出した. Y-LRH触媒の高い塩基性を利用し,重水中でのカルボニル隣接プロトンの重水素交換反応も効率良く進行した.例えば,シクロヘキサノンの2,6-位の水素原子は,ほぼ100%重水素原子に置換することができた. 以上のように,層状イットリウム水酸化物のマトリックス内に存在する強い塩基点を触媒活性点とする触媒設計を行った.今後,希土類元素特有のルイス酸性をも利用できる触媒反応系について探索を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では,触媒反応空間をも精密制御した機能集積型固体触媒の開発へと展開し,種々の環境調和型one-pot有機反応による高付加価値生成物の合成へと応用することを目的としている.具体的には,(1)アニオン交換反応を駆使した層間内への複数機能の集積,および(2)ピラーゲスト導入による反応空間の精密制御,を施した有機-無機ハイブリッド型のナノ構造触媒の合成に焦点を絞る. 現在までの進捗状況は,(1)に関しては,触媒活性種として機能するアニオン性Pd錯体を導入し,アルコール酸化ーアルドール反応のone-pot物質変換は達成できなかった.これは,層状マトリックスのルイス酸性が反応基質を多点配位させ,反応の進行を阻害しているものと考えられる.これを明らかにするため,ランタンやイッテリビウム等の層状化合物を合成し,反応評価すべきであるが,未だ明確な層構造が得られていない.(2)に関しては,Y-LRHのアニオン交換能を用いた層間修飾は実現できた.今後,多種多様なゲストアニオンを用いた触媒設計を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
ランタン,イッテリビウム等の希土類元素カチオンで構成される層状水酸化物を合成し,無機マトリックスが有するルイス酸性について評価する必要がある.また,異種触媒活性種として様々な遷移金属アニオン性錯体を導入し,基本層のみならず層間内でも逐次的な触媒反応を促進する触媒設計を施し,種々の環境調和型one-pot有機反応による高付加価値生成物の合成へと応用する.
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Research Products
(7 results)