2014 Fiscal Year Research-status Report
アニオン交換性層状希土類水酸化物を基盤とした新規固体触媒の設計と協奏機能の開拓
Project/Area Number |
25420824
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60437358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 層状希土類水酸化物 / 層状イットリウム水酸化物 / 固体塩基触媒 / クネベナーゲル反応 / 水溶媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,アニオン交換能を有する層状希土類水酸化物の化学的・構造的特性を巧みに利用し,無機マトリックス内への複数の反応活性点を同時に集積するのみならず,層状構造を形成する基本層をも触媒活性点として機能させることを目的としている.希土類元素のなかで,Y(III)カチオンからなる層状水酸化物(Y-LRH)の合成に成功し,長鎖アルキルカルボン酸アニオンをピラーゲストとしてインターカレーションし,層間隔の精密制御を施した触媒を合成した.層間隔を制御した触媒を用いて反応を行ったところ,Y(III)カチオン基準の触媒回転数はほぼ一定であったが,酢酸アニオン導入型の触媒(C2/Y-LRH)は,水溶媒中でのみシアノ酢酸エチルとベンズアルデヒドとのクネベナーゲル縮合反応において特異的に高い触媒活性を示し,有効な固体塩基触媒として機能することを見出した.水溶媒中では,C2/Y-LRH触媒の層間隔が膨潤し,反応に有効な空間が形成されたことが粉末X線回折から明らかとなった.また,速度論的考察を行ったところ,本反応では二次反応速度式で良好にフィッティングでき,アレニウスの式より反応速度定数を算出した.また,重水中でケトン類のα位のプロトンが重水素交換されたこと,および反応速度がドナーの濃度にのみ依存したことから,本反応機構における律速段階は活性メチレン化合物のプロトン引抜き過程であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では,触媒反応空間をも精密制御した機能集積型固体触媒の開発を展開するものである.新たな反応活性点を導入する触媒設計,例えば,過マンガン酸アニオン(MnO4-)を導入したところ,アルデヒドのアンモ酸化が低収率ながら進行し,ニトリルが得られることがわかった.今後,高収率が得られるよう,反応条件の最適化等を実施していく.
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように,新たに触媒活性種を導入する設計を進める.また,基本層のブロンステッド塩基性を利用した触媒の開発は行うことができているが,例えば,1,3-ジカルボニル化合物とエノンとのマイケル付加反応は進行しないことがわかっている.この結果は,基本層とジケトンが強く相互作用(Lewis酸点との相互作用)していることを示唆するものである.このような複数機能を利用したOne-pot反応系の構築を進め,高付加価値生成物の合成へと応用する.
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Research Products
(8 results)