2014 Fiscal Year Research-status Report
ラメラ相鋳型を利用した積層型ナノシート光触媒の新規開発と触媒機能
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25420827
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 敬三 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (60423555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 茂 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70175404)
加藤 雅裕 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (80274257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノシート / ニオブ酸 / 光触媒 / 水素生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題ではナノシート光触媒の耐久性,機能性の向上を目指し,ナノシート/無機物積層型光触媒の開発を目的としている.平成25年度の研究において,水熱合成を利用したボトムアップ法により単層および多層ニオブ酸ナノシートを調製した.紫外光照射下における水/メタノール混合溶液からの水素生成反応において,単層ナノシートは多層構造を有するニオブ酸塩(HNb3O8)よりも高い活性を示し,グラフェン等の複合化によりさらに改善できることが明らかとなっている.本年度は得られた単層および多層ナノシートのラマン分光法による構造解析,また可視光応答を目指したポリアニリン複合化に関する検討を行った. 1. 原子間力顕微鏡観察により層数の異なるニオブ酸ナノシートが形成していることが確認できた.ラマンスペクトル測定により,層数の少ない試料はピークが小さくブロードであり積層方向の秩序性の減少と対応していることがわかった.また層間のNb-O…H結合に由来するバンドが非常に小さく,Nb-O結合の伸縮振動が低波数側にシフトするなど,ナノシート結晶の構造を特徴付けることが可能となった. 2. 可視光を吸収可能な導電性ポリマーであるポリアニリンとニオブ酸ナノシートとの複合化について検討した.ラマンスペクトル測定により,複合化後において両者の特徴的なバンドが観察され大きな構造変更は見られなかったことから,両構造を有する複合体が得られた.拡散反射スペクトル測定ではポリアニリン(1wt%)/ニオブ酸ナノシート複合体では可視光領域に光吸収を示すことがわかった.以上のことから,ナノシートの二次元ナノ構造に由来する高表面積と電荷分離効果,ポリアニリンの可視光応答性と電子移動特性を併せ持つ複合体が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層型ナノシート光触媒の基盤となる単層ナノシートのラマンスペクトル測定による構造解析を行い,ナノシート結晶に関する新たな知見が得られた.また一方,複合化に関して新たにポリアニリンを利用し可視光領域に光吸収を有するナノシート複合試料が得られた.当初の予定に対して一部検討内容の順序が前後しているものの,積層型ナノシート光触媒の構造の機能化に関する知見が得られており,目標に向けておおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初はラメラ相を有する層状ナノシート構造をメインとしていたが,調製法の改良により単層ナノシートの調製が可能となり,こちらを基盤とした積層構造を設計することで,当初問題と考えてた構造安定性が解決された.また単層ナノシートを含む積層体の構造を生かすため,犠牲剤を含む水溶液からの水素生成反応への展開を行っている.この積層構造の触媒機能をさらに高めるため,これまで検討した無機物の複合化の方法を検討する.またそれらの触媒反応を行い,積層構造と触媒特性の関連性について評価を行う.
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Research Products
(10 results)