2013 Fiscal Year Research-status Report
過酸化チタン・ナノ粒子とX線照射の併用による細胞損傷促進機構の解明
Project/Area Number |
25420831
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荻野 千秋 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00313693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 過酸化水素 / 過酸化チタン / ナノ粒子 / 放射線照射 |
Research Abstract |
研究目的を遂行するために、本年度は以下の3項目について検討を行った。 [1] 過酸化チタンへの標的機能の賦与: 過酸化チタン表面へのタンパク質の化学修飾導入を行うため、カルボキシル基を多数有するポリアクリル酸を表面修飾することに成功した。これまでにもポリアクリル酸の修飾には成功していたが、放射線照射に応じてラジカルの生成を可能にする過酸化チタンの状態を維持した形でポリアクリル酸修飾することに成功した。また、修飾するための遺伝子組み換え抗体の生産にも成功した。次年度は、これらの部品を用いて、標的機能を有する過酸化チタンナノ粒子による細胞損傷を目指す。 [2] 過酸化チタンの体内挙動解析: これまでに過酸化チタンをナノ粒子として構築する事に成功しており、特異的な送達を検討するには、体内での挙動の解析が重要となってくる。そこで、培養細胞とマウス個体レベルでの挙動解析を試みた。培養細胞レベルでは、過酸化チタンナノ粒子は、細胞膜近傍に多く蓄積している事が明らかとなった。マウスに関しては、ヌードマウスを用いての実験計画を神戸大学動物実験委員会に申請し承認を得た。次年度は、ヌードマウスを用いた挙動解析を進めていく計画である。 [3] 過酸化チタンからのラジカルによる細胞損傷機構の解明: 過酸化チタンから発生するラジカルに関しては、その機構がこれまで明らかに出来ていない。今年度は、ラジカル主の発生に寄与していると考えられる過酸化水素の存在に関して検証を行った。その結果、過酸化チタン粒子から、常時、低濃度の過酸化水素が溶出している事が明らかになった。過酸化水素は、現在、放射線照射療法における増感剤として利用されており、臨床応用の経験も多い。この知見に倣うと、我々の治療システムにおいては、過酸化水素が過酸化チタン粒子より遊離し、放射線照射によるがん細胞死滅への機構に関与している事が明らかになった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画した3つの項目について、ほぼ予定の範疇で実験が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、本研究のマウス実験に関して、神戸大学の動物実験委員会の承認があり、マウス実験を進める事が可能となった。次年度は、マウス体内での動態解析を、積極的に進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度、マウス実験を行う計画であったが、マウスを用いた実験計画書の提出が遅延して、実験承認が降りた段階で、期限になったしまったため。 次年度、マウスを用いた動態実験を計画いに従い遂行する計画であり、その際に執行を計画している。
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Research Products
(6 results)