2014 Fiscal Year Research-status Report
バイラメラ空間内脱水酵素反応を利用した炭酸カルシウム中空ナノ粒子の気泡塔合成
Project/Area Number |
25420833
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉本 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322246)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 生体材料 / ナノ材料 / バイオリアクター / 酵素反応 / 生物・生体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
負に帯電させたリポソーム(脂質二分子膜小胞)の表面に,二酸化炭素から炭酸イオンの生成反応を触媒する炭酸脱水酵素を共有結合で固定化し,さらにカルシウムイオンを静電的に結合させた。リポソーム膜に固定化された炭酸脱水酵素は活性を維持していることを確認した。さらに,リポソーム懸濁液中におけるカルシウムイオン濃度を制御することにより,リポソーム同士を安定に分散させた状態でリポソーム表面にカルシウムイオンを吸着させた。カルシウムの吸着はゼータ電位測定で明らかにした。このリポソームを,双性脂質からなるリポソーム膜で包括することにより,バイラメラ構造をもち,内部に炭酸脱水酵素とカルシウムを固定化させたリポソームを調製した。液本体中のカルシウムイオンは,透析法によりバイラメラリポソームから分離除去した。この触媒系を懸濁した溶液と,二酸化炭素飽和溶液を混合して,バイラメラリポソーム系において炭酸カルシウムの生成を誘導した。炭酸カルシウム中空粒子が生成した可能性について,動的光散乱法による粒子径測定や脂質膜透過性の変化等により評価を試みた。以上のように,バイラメラリポソームの特異的な構造を利用して酵素反応と無機微粒子生成反応へ応用するための触媒系を構築できた。この触媒系は,試験管内等の静止液系に加えて,二酸化炭素ガスを通気したエアリフト型気泡塔等の実用的な反応器でも安定な触媒として機能することが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リポソームへの酵素およびカルシウムの固定化,遊離酵素・カルシウムの分離及びバイラメラ構造の形成の多段階の操作を必要とする触媒系の構築ができた。この触媒系の構築は,本研究の目的である中空微粒子生成反応において最も重要な点であることから,順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
リポソーム表層およびバイラメラ間における炭酸カルシウム層の生成反応を粒子径の変化と合わせてリポソーム膜の強度変化等の機能的な観点から評価する。生成粒子の中空構造についても評価する。さらに,外部循環式エアリフト型気泡塔等を用いて,反応器内の流動特性が触媒機能に及ぼす効果について検討する。
|