2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420836
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中西 猛 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (20422074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗体 / 酵素 / 受容体 / タンパク質工学 / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体分子の持つ優れた分子認識能を利用することによって、特異的かつ堅牢なタンパク質連結技術を開発することを目的としている。本年度は、ジスルフィド結合の導入により安定化したヘテロ4量体形成ペプチド複合体を利用することによって、上皮増殖因子受容体(EGFR)および CD16に結合する二重特異性抗体を調製し、その機能評価を進めた。まず、フローサイトメトリーおよび表面プラズモン共鳴法により抗原結合性を評価したところ、二重特異性抗体は、2種の標的抗原に対して同時に結合できることがわかった。また、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび質量分析法を用いて、二重特異性抗体の会合状態を調べた結果、2つの抗体可変領域を連結している2種のヘテロ4量体形成ペプチドは、ヘテロおよびホモの組み合わせでジスルフィド結合を形成していたことから、作製した二重特異性抗体には、2種の異なる会合状態が存在すると考えた。さらに、CD16陽性のエフェクター細胞の存在下で、EGFR陽性のがん細胞に対する傷害性を評価したところ、二重特異性抗体は、市販抗体医薬に匹敵するがん細胞傷害性を示すことが明らかとなった。以上の結果から、本研究で提案するヘテロ4量体形成ペプチド複合体を利用したタンパク質連結法は、高機能組換え抗体の開発において有用であると考えている。現在、本手法の汎用性および優位性を検証するために、新たな組換え抗体の作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で開発したタンパク質連結法を用いて、高機能抗体の作製に成功したと考えているが、二重特異性抗体の調製および評価において、当初計画より多くの研究期間を要したことから、タンパク質連結法に関する汎用性の検討が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画よりやや遅れているため、新たな組換え抗体について、迅速に調製・評価を行う。また、進捗状況を勘案しながら、作製する組換え抗体の種類を絞り込む必要性について検討する。
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