2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞シート積層化技術を用いた3次元ヒト腹膜組織評価法の確立と新治療法開発への応用
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25420839
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
崎山 亮一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30408471)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腹膜透析 / 積層化細胞シート / 溶質透過係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎臓の悪い患者さんは2014年末で32万人を越えました。その治療法である腹膜透析(PD)はお腹の中にPD液をいれて、体内に蓄積された尿毒素が血管から腹膜を通過してPD液に除去される治療法です。しかし、PDによる腹膜の劣化が問題となっています。 本研究はPD液が生体に適しているかどうかを評価する手法の一つの開発です。通常は小動物を用いて評価を行ないますが、動物への負担をできるだけ減らす評価法は経済的、動物愛護的にも必要です。腹膜は、中皮細胞層、間質層(線維芽細胞)、血管内皮層の3層から成り立ちます。そこでこの3層を生体外で作成することができれば、新しい評価法が確立できると考えました。しかし、生体外で細胞毎で多層の組織を作成することは非常に困難です。この問題を解決する手法として、細胞シート積層化技術を用いました。 我々は、腹膜を生体外で再現するために、ヒト中皮細胞、ヒト線維芽細胞、ヒト血管内皮細胞、それぞれで細胞シートが作成可能か検討しました。その結果、それぞれの細胞で細胞シートが作成可能でした。さらに、ゼラチンを用いたスタンプ技術で3つの細胞シートを腹膜の構造に類似させて積層化することで、生体外で3層から成る疑似腹膜組織の作製に成功しました。また、疑似腹膜組織は、単層ではみられなかった血管の内腔構造が観察されました。一方、疑似腹膜組織の溶質透過係数は、単層組織に比べて、分子量4000では1/26.5、分子量10000では1/4.5、分子量70000では1/1.9となり、組織化することで溶質が通過しにくいことが示され、生体に近い結果となりました。これは、単層組織では、細胞の横の接着しかおこらないのに対して、積層化した組織では、横に加えて上下の接着も生じることから、より生体に近い溶質の通過動態を再現できました。 生体外で疑似腹膜組織を作成し、その評価法の開発に成功しました。
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Research Products
(9 results)