2013 Fiscal Year Research-status Report
不可逆的な酵素阻害剤評価用バイオセンサの開発と薬剤スクリーニングへの応用
Project/Area Number |
25420841
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯田 泰広 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (40329305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セクレターゼ / 固定化酵素 / 阻害剤 |
Research Abstract |
アルツハイマー病は認知症の一種であり、脳が次第に萎縮し、記憶障害、失語、失行、失認、実行機能障害などが起こり、ついには死に至る病である。この病気は、脳内にアミロイドβペプチド( Aβ )から成るアミロイド線維が沈着してできる老人斑と神経原線維が異常にリン酸化されたタウタンパクが認められる神経変性疾患病である。国内に約200万人以上も居る認知症者の約6割がアルツハイマー病であるとされている。今後、高齢者人口の急増とともにアルツハイマー病患者が更に増加すると予測されるため、この対策は社会的に重要である。そのため、治療薬の開発が精力的に進められてきているが、現在、十分効果のあるものは開発されておらず、また、根治的な療法は皆無である。 本研究では、アルツハイマー病の原因となるアミロイド線維を形成するのに鍵となる酵素の阻害剤を見出すためのツールを開発し、実際にスクリーニングを行い、リード化合物を得ることを目標としている。特に、通常開発される酵素阻害剤が基質のアナログを対象とすることが多く可逆的阻害であることに対し、本研究では、固定化酵素と組み合わせることにより不可逆的に阻害できる化合物を容易に評価できるシステムを開発することにより従来にないタイプの阻害剤スクリーニングを行うことを特徴としている。 初年時の昨年度は固定化するための組換えセクレターゼの開発とマイクロ化に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の実験計画において、配向性を考慮したβ-セクレターゼの構築とマイクロフローデバイスのための新規酵素固定化用担体の開発、およびマイクロフローセンシングシステムの開発の3つの達成を目的としていた。 最初の目的であるセクレターゼは構築でき、酵素的特徴や固定化した際の特性などの評価を行うことができている。次の目的である、新規固定化用担体の開発においても、モノリスシリカカラムを作成することができている。当該担体を用いたマイクロフローセンシングにおいてはまだ完了しているわけではないが、システムを構築し、従来知られている阻害剤を用いて、当該システムにより酵素活性および阻害剤の阻害能を評価できることが示されている。 以上のことから、おおむね予定通り進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、予定通り新規のβ-セクレターゼ活性評価用の基質の開発に取り組むとともに、既存の活性評価用基質を用いて当該酵素の阻害剤のスクリーニングに取り組む予定である。また、26年度が順調に進めば、最終年の27年度も予定通り進めていく予定である。
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