2014 Fiscal Year Research-status Report
レクチン様分子シャペロンの活性を可視化する新規糖鎖プローブの開発
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25420844
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
迫野 昌文 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (50391959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖タンパク質品質管理 / 分子間相互作用 / 環境応答性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レクチン様分子シャペロンの活性を可視化し、解離定数の測定や、より詳細な生物物理定数の導出を可能にする新規糖鎖プローブの開発を行う。これまでに申請者が用いた糖鎖プローブは、糖転移酵素などによりプローブの構造に変化が加えられることで活性を評価してきた。しかし、分子シャペロンは、タンパク質構造の巻き戻りをアシストする性質であるため、糖鎖構造に直接影響を与えず、相互作用した糖鎖プローブには物理的変化が与えられない。形成した分子シャペロン-基質複合体を未反応の基質と分離することで形成割合を測定する方法も考えられる。通常、分子シャペロンの解離定数はμM オーダーと弱い力であるため、未反応基質との分離中における複合体の解離に伴う誤差が無視できない。したがって、より正確に評価するには、シャペロンと複合化した際に、変化を生じるようにプローブに工夫を施すことが必要となる。分子シャペロンの基質認識の駆動力である疎水性相互作用を利用し、疎水性雰囲気下で蛍光波長が変化する蛍光基をコンジュゲートした糖鎖プローブを新たに合成する。この新規糖鎖プローブを用いて、シャペロンの活性を、未反応基質の分離操作を行うことなく、その場で観察が可能となる活性評価手法の確立を目指す。そこで、疎水性応答分子であるNileredを有する糖鎖結合プローブを作製し、分子シャペロンとの相互作用で生じると予想される疎水性応答を観察することで、複合体形成のその場観測が可能になると思われる。本年度は、Nileredの構築及び量上げと、小胞体シャペロンの発現系の構築を行った。予定したNileredの合成に成功し、また、分子シャペロンの調製も成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から2年目の初頭までにおいてプローブ分子の開発を終えている。また、本研究で用いる予定の分子シャペロンの大腸菌からの発現系も構築が終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プローブ分子と分子シャペロンの相互作用実験を遂行する。特に蛍光測定器を用いて、プローブ分子の波長変化を詳細に測定する。この変化量から、会合に関わる物理定数の導出を試みる。さらに、培養細胞にプローブ分子を取り込ませることで、基質の動態に関する検討を試みる。
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Causes of Carryover |
年度途中における異動のため研究環境の変化に伴う予定外の支出が増えた。本来予定した物品ではなく最低限必要となる物品から改めて揃える必要が生じたため、予定と異なる予算執行となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本試薬及び測定試薬に大半を使用していき、また共同利用機器の使用等にも充てていく予定である。
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Research Products
(2 results)