2014 Fiscal Year Research-status Report
加熱・展開機能を最適化した宇宙展開構造用複合材料システムの創製
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25420850
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 雅章 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60512085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 正樹 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機能性ポリマー複合材料 / 展開性能 / 温度計測 / 形状固定・形状回復 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性複合材料を用いた宇宙展開構造システムの実現において,形状記憶ポリマーを利用したシステムは加熱のみによる展開が可能であるという点で着目されている.形状記憶ポリマーの温度依存材料特性によって,宇宙展開構造応用に必要な形状固定性や形状回復性が決定づけられ,この材料特性を基礎として変形状態を予測することにより,最終的な展開精度の制御が可能となる.そこで本年度は,機能性複合材料システムの展開特性を最適化するための知見を得るため,加熱機構を組み込んだ機能性複合材料に対して,その展開特性を解析によって再現することを試みた.
前年度までに確立している製作法により,機能性複合材料を製作し,加熱機構を組み込んだ.ここで,展開においてはおよそ繊維の弾性力が支配していることや,熱伝導特性が展開時間を支配することなどを考慮し,強化繊維として平織のカーボンクロスを使用した.展開特性のみならず剛性にも優れるが,形状固定性のみが劣ると考えられた.これを用いた形状記憶複合材料を作製した.これに対し,加熱機構のパターンを変化させて温度分布を変化させることで,展開特性の違いを評価した.評価の手法としてはサーモグラフィによる温度計測や試験片形状のカメラ撮影等を実施した.この展開特性をモデル化するため,汎用非線形有限要素解析ソフトを利用して,非定常熱伝導解析および粘弾性変形解析により,温度と材料変形の連成解析を実施した.形状記憶ポリマーおよびその複合材料に対してそれぞれ行った動的粘弾性試験結果を基にして,展開特性をおおよそ予測できることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素繊維織物を用いた機能性複合材料の製作を行い,その展開特性を評価することができた.前年度に評価を始めていたガラス繊維織物を用いた材料での結果と比較することで有用な知見を得ることができた.また,温度に依存する材料変形をモデル化し,展開特性を予測する有限要素解析モデルを確立し,動的粘弾性試験で評価した材料特性に基づいてその予測性能を評価することができた.炭素繊維織物を用いた場合,展開特性には優れるため,形状固定性を確保するための最適設計の指針について,確立した力学モデルによるケーススタディから検討が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに,加熱機構を組み込んだ機能性複合材料システムの作製を実現し,温度計測,展開試験,またそれに対する非定常熱伝導解析や材料粘弾性解析を用いた材料変形と温度の連成解析モデル,展開予測のための材料パラメータ決定に用いる動的粘弾性試験のモデル化方法などを検討し,おおよそ展開特性を予測・評価し,最適設計の指針を得ることができる段階まで到達した.形状記憶ポリマーの分子モデルによる検討も一部実施し,分子レベルの結合の強さや凝集性の観点からの動的粘弾性特性の検討も行った.一方,このような検討は材料レベルあるいは試験片レベルの検討であり,実際の構造の展開においては,材料特性から予測できる形状固定性や形状回復性という観点からの展開特性のみならず,展開のダイナミクスの観点から実際の展開可能性を検討することが重要であることが判明しているため,これを有限要素解析モデルで検討することを最終年度の課題とする.
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Research Products
(3 results)