2013 Fiscal Year Research-status Report
皺・弛み・折り目を含む薄膜の確率論的動力学モデルの探求
Project/Area Number |
25420851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩佐 貴史 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90450717)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薄膜 / 振動応答 / 空間分布 / 非接触全視野形状計測 / 確率分布 |
Research Abstract |
初年度は,現状の格子投影法の形状計測装置に振動計測の機能を追加するとともに,皺・弛み・折り目を含む薄膜の振動実験装置を製作した. そして,基本モデルとなる皺の無い薄膜を対象に振動計測を実施し,膜面の波動の伝播過程,波動から定常振動への移行過程,移行後の定常振動過程を適切に計測できることを確認した(第45回 応力・ひずみ測定と強度評価シンポジウムにて報告,2014.1).さらには,皺の生じていない薄膜の振動応答から膜面の任意の点の加速度パワースペクトルを計算し,その空間分布を確率過程の視点から検討した結果,膜面の加速度応答の空間分布は経験的に対数正規分布に従うことがわかった.この結果は,従来の人工衛星の音響振動応答や衝撃応答との類似性を示唆するものであり,大変意義のあるものである. また,形状計測結果に生じるランダムノイズを空間方向に適切に処理する方法としてwiener filterによるランダムノイズの除去法を提案し,その有効性を確認した.さらには,提案した除去法を薄膜の振動計測結果へ適用し妥当性を確認した(第2回サンプリングモアレ法による構造物の計測技術に関する研究会にて報告,2014.3). これらの結果は,次年度の「薄膜の確率論的動力学モデル」を検討する上で基盤的な技術であり,極めて重要な成果である.また,皺の生じていない薄膜の挙動は,皺・弛み・折り目を含む薄膜の挙動を検証するにあたって最も基本的な比較対象となるものであり,その挙動を適切に取得できた意義は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,格子投影法の計測装置に振動計測の機能を追加するとともに,皺・弛み・折り目を含む薄膜の振動実験装置の製作を終了している.また,これら計測装置・実験装置の妥当性の確認を終え,対外的にも研究発表という形で公表でき概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,初年度に構築した計測・実験装置を用いて,皺・弛み・折り目が薄膜の振動応答に与える影響を検討するとともに,振動応答の空間分布を確率過程の視点から検討し,薄膜の運動が従う確率論的動力学モデルを探索していく.また,初年度の結果を下に,実験装置や計測装置の高度化を併せて実施し,精度のよい実験を行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に実験装置のジグの一部を改修する予定であったが,該当するジグを詳細に検討していく段階で時間を費やし,年度内に改修することが難しくなったため次年度に繰り越すこととした. 薄膜の振動実験装置の改修費として,ジグの材料費等に利用する予定である.
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Research Products
(3 results)