2014 Fiscal Year Research-status Report
極低温高感度検出器用開口面からの熱輻射抑制に関する研究とその応用
Project/Area Number |
25420857
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
木村 誠宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 准教授 (10249899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 一広 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (00401290)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 輻射シールド / バッフル / 黒化処理 / 熱輻射の反射・伝搬 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線天文衛星や赤外天文衛星では極低温に冷却した高感度検出器を開口部から観測対象に向けて行う。この時、開口部から侵入する熱輻射が観測用検出機への入熱となり、冷却能力が限られた衛星では大きな問題となる。 平成26年度の研究計画に基づいて冷却系を設計する際のバッフル板の配置、反射率等の条件をどのようにすれば最適化できるのかの検討と応用範囲の広い汎用的な形にまとめることに集中した。このポイントとして、 1;パイプ・バッフル板の表面状態(反射率、凹凸)と幾何学的配置(どこにバッフル板を入れるか)を分離して考える。最適な幾何学的配置を求めた後、入熱の表面状態に対する依存性を考慮する。 2;最適な幾何学的配置を求めるため、入射する光線の強度を角度の関数としてプロットする、または図示する。どのような角度から強い入熱があるのか、円板によってどの部分を遮ることができるのかを直観的に理解する。 具体的にはKAGRA向け熱輻射抑制用ダクトシールド実機から取得した実験結果を基に輻射シールド開口部からのバッフル板による熱輻射の抑制効果について詳細な解析を行い、原理的な証明と法則化を行った。さらにこの熱輻射抑制によるKAGRA干渉計の散乱光雑音の評価を併せて行った。 本研究成果として平成26年度は1本の査読付論文を発表した。これと並行して国内学会で1件、国際学会で3件の成果発表を行った。さらにこれらの研究成果を元にした学位論文(博士、理学)が東京大学に提出され、受理された。さらに2本の査読付論文を投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、前年度に得られた実験データの解析を中心に行い、輻射シールド開口部からのバッフル板による熱輻射の抑制効果について原理的な証明と法則化を行った。 この解析により研究成果として1本の査読付論文を発表することができた。これと並行して国内学会で1件、国際学会で3件の成果発表を行った。これらの研究成果を元にした学位論文(博士、理学)が東京大学に提出され、受理された。さらに2本の査読付論文を投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
バッフル板による熱輻射の抑制についてさらなる理論的検証を行うため、熱輻射の精密測定実験を行う。このため、海外研究者の招聘を計画し、共同実験を行う予定である。また、研究計画の最終年度であるため、研究成果の纏めを行う。
|
Causes of Carryover |
平成26年度の研究を実験データの解析を中心に進めたことにより、実験に向けた直接経費の使用実績が当初予定より下回ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究は海外研究者との共同実験を中心に行う。平成26年度に生じた直接経費の繰越金はこの共同実験の費用と海外研究者の旅費の一部に充当する。
|