2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25420858
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
奥泉 信克 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10321564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膜面展開構造物 / 立体化 / 剛性・強度 / 加振実験 / 非線形有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
軽量で折り畳み可能な膜面展開構造物は,ソーラーセイルやドラッグセイル,太陽電池アレイなどへの応用が期待され,世界的に活発に研究されている.本研究では,展開形状の立体化による膜面構造物の剛性や強度の向上について検討した.2015年度は,小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSのソーラーセイル膜面の展張形状と高剛性のメカニズム解明と,回転する円形膜に折り癖を付与して立体化することによる剛性向上効果の検討を行った. IKAROSについては,非線形FEMソフトAbaqusでIKAROSのセイル膜面を詳細にモデル化し,遠心力下でセイルに搭載された薄膜太陽電池セルに反りを与えて展開解析を行い,セルの反りによってセイルの周方向長さが縮小すると,セイル全体が面外にたわみ,その結果セイルの剛性が増加して低回転数時でも太陽輻射圧による変形が抑制されることを明らかにした. 回転円形膜については,直径600mm,膜厚15μmのポリイミド円形膜に30度間隔で放射状に折り癖を付与し,全体がジグザグ状になるように中心を固定した場合(再外周の折り山の高さ約23mmと13mmの2種類)と中心を平面状に固定した場合の計3通りに対し,真空槽内で3~12Hで回転しながら軸方向に加振する実験を行った.その結果,中心を平面状に固定した場合や山の高さが低い場合,折り癖のない場合と比較して,共振点が低回転数域で1.3倍程度に向上し,高回転数域でやや低下する特性が確認された.非線形FEM解析でも同様な傾向を確認した.また,非回転時のジグザグ状円形膜のFEMによる固有値解析を行い,平面の場合と比較して主要モードの振動数が20倍以上に向上することを確認した. 本研究を通じて,膜面構造物を波板状やジグザグ状に立体化することによる剛性や強度の向上可能性を具体的なモデルで実験的,解析的に検討した.さらに詳細な検討には,供試体と実験装置の精度向上と改良,解析法の検討が必要である.
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