2014 Fiscal Year Research-status Report
水中プラットフォームを用いた浮体式洋上ウィンドファームの開発に関する基礎研究
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25420862
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
村井 基彦 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (60292893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 絢 独立行政法人海上技術安全研究所, 洋上再生エネルギー開発系, 研究員 (00636813)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 浮体式洋上風車 / 水中プラットフォーム / 水槽実験 / 弾性応答 / 波浪中応答 / 海洋再生可能エネルギー / 浮体動揺 / 洋上ウィンドファーム |
Outline of Annual Research Achievements |
浮体式風車による大規模洋上ファームの構築にあたっては、浮体式風車単体としての性能と経済性の向上が不可欠であり、多くの研究が実践されている。一方で、現状の研究の多くが洋上風車単体での性能向上に焦点が絞られており、ウィンドファームの評価は単体浮体の単純な足し算での評価となっている。しかし、大規模ファームの構築にあたっては、海域からの空間的なエネルギー取得率の最大を目的としつつ、浮体施設の大規模化によるスケールメリットを活かしたオリジナル技術の開発と、それに基づいた効率性や経済性の追求が欠かせない。 本研究では、水中プラットフォームという構造体で、複数の風車群を水中で連結する手法を提案する。水中により浮体式洋上風車を水中で連結することのメリットは、着底式風車のウィンドファームのように洋上での相対的な位置関係が安定的に保持されることにある。このことは、空間的なエネルギーの取得の効率性向上と複数浮体の一体化による係留事故や浸水事故に対する安全面での冗長性が期待される。このようなウィンドファームの大規模化によるスケールメリットをいかせる浮体構造物の考案と、その考案した浮体構造物の工学的な成立性について検討を行った。 平成26年度は、平成25年度の基礎的な剛体としての浮体の応答特性についての検討結果を踏まえ、3つの洋上風車の連結を模擬した実験模型を制作し、水槽実験を通して波浪中での弾性応答について、検討を行った。その結果、水中プラットフォームには無視できない弾性応答が生じ、応答の支配的要素になることを数値計算、水槽実験の両面から確認した。一方で、設置水深を実機換算で50m以深とすると、応答が明確に低減した。また、本コンセプトの工学的な成立性に関して、風荷重についても数値解析を行い、2MW級の浮体式洋上風車であれば、十分に成立することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目標としていた、長大な構造物の場合には無視することが出来ない流力弾性応答に関して、1/200のバックボーンモデルによる弾性浮体模型を制作し、水槽実験を実施することが出来た。水槽実験と数値計算の両面から水中プラットフォームの弾性応答について比較検討を実施することが出来た。小型模型ということもあり、浮力体間の数mmのギャップが流力弾性応答の水槽実験結果に影響を与えていると思われることも確認できたが、この点については、今後さらなる詳細な確認と検討が必要である。また、風荷重を想定した数値解析についても実施でき、本コンセプトの工学的な成立性について多面的に検討を行うことが出来た。以上のことから、現段階として、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
この2カ年の研究により、水中プラットフォームという新しいコンセプトに関して、構成要素の一部に関する剛体の水槽実験による基礎的成立性、及び細長い浮体構造物が波浪中にあることを想定した弾性浮体としての水槽実験から、操業時を想定した場合には工学的に成立しうることを確認した。 それらを踏まえ、今年度は長大浮体への斜め波、横波中での弾性応答を含めた応答についても検討を行い、操業時だけ無く、設置過程やよりシビアな波浪環境下を想定した状態での、平面内変形などについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
数値解析になどに関して、研究がある程度順調に進んだこと、また、海上技術安全研究所での水槽実験における模型制作について、一昨年度の経験を活かし、弾性模型について経済的な模型制作を実施できたことが最も大きい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は実験水槽が2次元水槽から3次元の平面水槽を用いた水槽実験を予定しており、昨年度の残額と合算して模型制作費として当てることで、3次元水槽での水槽実験に適した大規模な水中プラットフォーム模型の制作とそれによる水槽実験を実施する。 また、研究成果の発表として海洋工学では最大規模の国際会議にて発表、及び海洋再生可能エネルギーの水槽実験に関する国際的な検討委員会でも情報の相互の交換を行う。
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Research Products
(3 results)