2013 Fiscal Year Research-status Report
GPGPUコンピューティングを活用した大規模構造物の高精度溶接変形予測法の開発
Project/Area Number |
25420873
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
柴原 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20350754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (50535052)
村川 英一 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60166270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | GPGPU / 溶接変形 / 船体ブロック / 大規模解析 / 高速解析 |
Research Abstract |
GPGPUの導入による超並列大規模解析用理想化陽解法FEM (Stand-Alone PCにて1億自由度程度まで解析可能な計算手法)の開発、および、仮付け,ルートギャップ,目違い,ブロックの寄せ作業等の組立工程における諸因子の影響を考慮可能な溶接変形解析法の構築を行った。 船体大型ブロック同士を接合する際の溶接変形を解析する場合においては,解析自由度数が1億を超えるような場合も想定され,市販されているPCではメモリーの制約上,また,解析時間の都合上の両面から解析が不可能になる場合が想定される。そこで,この問題を解決するために,本研究では,2011年に申請者らが開発した理想化陽解法FEMに対し,GPGPUを導入した。理想化陽解法FEMは,動的陽解法FEM解析時における質量マトリックスおよび減衰マトリックスを理想化することで,静的解析に対する適用性を追求した手法であり,既往の溶接変形解析においてよく用いられる静的陰解法FEMと比較して,計算時間および使用メモリーを大幅に短縮可能な,実用性の高い手法である。具体的には,40万自由度程度の解析において,陰解法と比較して精度は同様,解析時間1/4,使用メモリー1/50を既に実現している。また,この手法の特徴として,解析自由度数が大きいほど省メモリ・高速化の効果は大きいことが示されているので,申請研究のような大規模解析を実現するためには非常に有効であると考えられる。さらに,この理想化陽解法FEMは動的陽解法FEMをベースに理論展開しているため,節点ごとや要素ごとの計算がほとんどであり,大きなマトリックス演算を必要としないことから,小単位の計算に圧倒的に高い計算性能を示すGPGPUを用いた超並列コンピューティング手法の導入を行うことで,より大幅な解析時間,使用メモリーの低減が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施項目として、 ①GPGPUの導入による超並列大規模解析用理想化陽解法FEM (Stand-Alone PCにて1億自由度程度まで解析可能な計算手法)の開発 ②仮付け,ルートギャップ,目違い,ブロックの寄せ作業等の組立工程における諸因子の影響を考慮可能な溶接変形解析法の構築 ③基礎試験(板継溶接・T継手隅肉溶接)の実施および画像計測 を挙げたが、①②に関しては、完了した。③に関しても、計測システムは完成し、次年度早期に実験も完了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
③基礎試験(板継溶接・T継手隅肉溶接)の実施および画像計測 ④3D-CADデータからの溶接線を自動抽出可能な要素分割作成システムの開発 ⑤ ①②④の要素技術を統合化した船体大型ブロックの溶接組立変形解析システムの開発 を実施する予定である。 ③に関しては、①②により構築された超大規模溶接変形シミュレーション手法を,基礎試験である板継ぎ溶接・T継手隅肉溶接試験に適用し,仮付け,ルートギャップ,目違い等が角変形,縦収縮,横収縮に及ぼす影響について検討を行う。また,別途,解析と同条件を用いた実験を実施し,レーザ変位計や申請者らが独自に開発したデジタルカメラを用いた変形計測法5)を適用することにより,デジタルカメラで撮影した全視野における溶接変形量の計測を行い,解析結果と実験結果との比較から,提案手法の妥当性について検証を行う。 ④に関しては、造船設計現場において主流になりつつある3D-CADデータを基にFEMメッシュ作成を容易に行うことができる方法について検討する。熱弾塑性解析に基づく溶接変形解析では,溶接線近傍において要素を非常に細かくする必要があるが,ここでは,CADデータに含まれる溶接線情報を基に,ほぼ自動的に溶接解析用要素分割を生成するシステムの開発を行う。実在の大規模構造物の製造時における溶接変形問題に本システムを活用することで,本システムの実施工に対する応用を実施する。本システムの適用事例としては,船体大型ブロック溶接組立時に発生する溶接変形問題を想定する。 ⑤に関しては、上記本システムにより得られた変形量の実験的検証も予定しており,画像計測や3Dレーザスキャナを用いて本手法の妥当性について検証する。
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Research Products
(12 results)