2013 Fiscal Year Research-status Report
簡易AISと無線LANを用いた沿岸域と船舶における安全安心情報共有システムの構築
Project/Area Number |
25420876
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
浦上 美佐子 大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30280457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海事システム / 安全システム / 情報共有 / ネットワーク / 簡易AIS / 無線LAN |
Research Abstract |
本研究は、災害時に情報の空白地帯として問題視されている離島や沿岸域と、その周辺海域に主眼を置く。具体的には、災害時、離島を含めた沿岸域の住民、および、小型船舶操縦者の情報孤立を防ぐため、免許不要な簡易AISと無線LANを用いて、安全安心情報を双方向で送受信することで、防災・減災に役立つ情報の共有化可能なネットワークシステムを提案し、実証実験に基づいた計算機シミュレーションによりその評価を行う。 まず、(1)離島と沿岸域、小型船舶の通信モデルを試作した。平成23年東北地方太平洋沖地震時や津波襲来時、復旧・復興時の船舶関係機関、沿岸域や離島住民に対する文献調査を既に実施している。また、被災地における一般住民が必要な情報については、過去の研究より文献調査およびヒヤリング調査を実施しているため、沿岸域を中心に、ヒヤリング調査を実施し、具体的に取り扱う情報を選定した。そして、選定した情報を共有化するため,離島と沿岸域,および小型船舶との通信モデルを試作した。 次に、(2)沿岸域と小型船舶,および船舶間との情報の送受信を簡易AISと無線LANを用いて実現し,情報携帯端末の地図上に情報を可視化するシステム構築を目指すため、簡易AISを設置する前に、本校所有の既設機器を用いて次に示すことを実施した。(2-1)本校所有のClassAの自船AIS局および陸上AIS受信局において、AISデータをオンボードで記録し、その記録データの利用可能性について調査した。同時に、無線LAN経由でAIS記録データにアクセスするフィールド実験も行った。(2-2)AIS記録データを基に、特定船舶の位置情報や自船AIS局が受取った安全関連情報などをマップ化し、PC上または携帯端末上で表記するプログラムの試作を行った。 これらの結果をもとに、簡易AIS局および無線LANを用いた情報共有システムを開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度として、(1)離島と沿岸域、小型船舶の通信モデルを試作、(2)ヒヤリング調査を通じた取り扱う情報の選定、(3)簡易AIS局の設置準備を行うことができた。 当初の予定では、計算機シミュレーションおよび簡易AIS局での通信実験も開始する予定であったが、AIS記録データの利用可能性を調査することの重要性が判ったため、新たに本調査を加え、次年度予定のAIS記録データを用いた特定船舶や安全関連情報のマップ化のプログラムを試作した。 以上のことから、おおむね順調に進展していると評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)計算機シミュレーションの評価および安全安心情報共有システムの設計・開発 初年度、本校所有の小型船舶2隻に簡易AISの設置をすませた。既に試作した通信モデル及び自治体・住民・船舶関係者等が必要だと考えている取り扱う情報、フィールド実験および計算機シミュレーション実験などの結果による通信品質や通信時間を評価する。その結果を踏まえて、安心安全情報共有システムの設計を行い、開発を行う。 (2)携帯情報端末を用いて、安心安全情報を地図上表記し可視化するシステムの設計・開発 初年度、AIS記録データの特定船舶の位置情報、安全関連情報を、PCまたは情報携帯端末へ表記するプログラムを試作した。今後、簡易AISの利用者が、情報を容易に扱えるようにするため、情報携帯端末を用いて自動的に情報表示できるプログラムを設計し、開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本校所有の自船AIS局および陸上AIS受信局の記録データをもとにした利用可能性を調査することに時間がかかり、簡易AIS局通信実験用に関わる準備手配が2月中旬から開始した。そのため、AIS局本体の簡易AIS局実験に必要な機材の購入手続きを3月に行ったが、納入が当該年度内に間に合わないという事務手続きの関係で、翌年度に発注することとなったことが原因である。 本報告書作成時点で、本次年度使用額分については、既に使用済である。
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