2013 Fiscal Year Research-status Report
凍結融解と応力の作用を同時に受ける岩石のハイブリット損傷の評価
Project/Area Number |
25420879
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
児玉 淳一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70241411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 齊明 函館工業高等専門学校, -, 准教授 (60435386)
中村 大 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90301978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 岩石 / 凍結融解 / 応力 / 損傷 / ハイブリッド |
Research Abstract |
1次元の状態で岩石供試体を冷却・加熱することのできる凍結融解試験装置の制作とその動作確認,およびSub-zero温度領域で一定応力を長期間負荷した状態での変形と微小破壊の計測方法に関して検討した. まず,内部に冷却水が循環できるようなスパイラル構造の細い水路を有する直径40mm程度のエンドピースを2つ作製した.また,ポンプ機能の付いた低温恒温水槽とプログラム温調器を組み合わせることにより,-20~+20℃の温度範囲で循環水の温度を任意に調整できる冷却・加熱水循環装置を2つ製作した.断熱チューブを用いて,エンドピースと冷却・加熱水循環装置を連結し,2つのエンドピース内を流れる循環水の温度を独立に制御することのできる1次元凍結融解試験装置を完成させた.なお,循環水は約-30℃まで凍らない寒冷地用の不凍水を使用した. 次に,1次元凍結融解試験装置の動作確認を行った.具体的には,10mm間隔で熱電対を取り付けた長さ約60mmの円柱形岩石供試体の両端面に,それぞれ上述したエンドピースを設置し,岩石供試体とエンドピースの周囲を断熱材で覆った状態で,異なる温度の循環水を循環させた.その結果,温度差が大きいほど定常状態に達するまでの時間は長くなるものの,定常状態では供試体中の温度勾配がほぼ一定となることが確認できた. 続いて,現有の恒温槽と材料試験機を用いて,温度を-20℃に保った状態で岩石供試体に一定の応力を最長3日間負荷し続け,変形とAEの計測を行った.その結果,計測システムの正常な動作が確認でき,また,乾燥状態の供試体に比べて含水飽和状態の供試体では変形が大きく,ひずみの精度の良い計測には,両供試体の間で計測レンジの設定を変える必要があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物品の調達がほぼ当初の計画通り行え,試験システムの制作にも大きな問題が発生しなかった.このため,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
一定応力と凍結融解作用の両方による損傷(ハイブリッド損傷)を岩石に同時に与え,1次元ならびに3次元での冷却・加熱による岩石のハイブリッド損傷の評価・分析を行う. 1次元的な冷却・加熱条件の試験では,平成25年度に製作した1次元凍結融解試験装置を用いる.岩石供試体の両端面に上述した2つのエンドピースを取り付け,循環水の温度をともに+20℃に設定し,材料試験機により一定の応力を負荷する.その後,下部エンドピース内の循環水の温度を-20℃まで徐々に低下させる.温度分布が定常状態に達したら,下部エンドピース内の循環水の温度を+20℃まで徐々に上昇させる.この循環水の温度変化を3日程度の間に繰り返し与える.3次元的な冷却・加熱条件の試験では,現有の恒温槽を用いる.一定の応力を負荷した状態で恒温槽内の温度を+20℃~-20℃の範囲で繰り返し変化させる.冷却・加熱速度は1次元的冷却の試験と同じとする. 岩石は空隙率が30%程度の凝灰岩と空隙率が5%程度の砂岩の2つとし,含水飽状態の供試体を用いる.両試験ともに,一定応力の大きさは含水飽和状態の一軸圧縮強度の60%程度の大きさとし,ひずみ・表面温度,AEの計測を行う.そして,ひずみとAEの挙動を温度と対応させながら分析し,1次元的な冷却・加熱と3次元的な冷却・加熱における損傷の発達方向や速度,損傷プロセスについて把握し,冷却条件が岩石の損傷に与える影響を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した消耗品が,当初予定よりわずかに安価であったため. データ分析のための図表を出力させるOA紙として使用する.
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Research Products
(2 results)