2014 Fiscal Year Research-status Report
低周波数領域におけるメタンハイドレート賦存層の弾性波減衰特性実験法の構築
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25420881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 潤 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70282499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / 弾性波減衰 / 低周波室内実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、室内実験で扱うことが難しいとされている低周波数領域(通常の実フィールド地震探査で使用される周波数領域)に拡張することにより、これまで応募者が実施してきたメタンハイドレート賦存層(MH層)における減衰現象の周波数依存性(高周波数側:室内実験、低周波数側:実フィールド地震探査)を一元的かつシームレスに分析することを可能とし、減衰現象の周波数依存性を説明するためのマルチスケール岩石物理学モデルを完成させ、弾性波減衰を利用するメタンハイドレート資源探査の指針を理論的に構成することである。今年度は、応力発光体を用いた室内実験法の構築を試みた。応力発光とは、圧縮、引張などの外力により発光する現象であり、歪みゲージや圧電素子による接触型測定とは異なり非接触での測定が可能なため、高い再現性の実現、高精度の測定が期待できる。応力発光物質を入手しエポキシ樹脂と混合したテストサンプルを製作し、荷重に対する応力発光現象を確認した。さらに当該物質を5cm立体のアクリル物体に均一に塗布する作業にとりかかるとともに、高感度カメラを入手し、応力発光の強度と分布を測定するシステムを構築した。また、未固結媒体ならびに固結媒体を塩水飽和させた物質を部分凍結させたものを模擬メタンハイドレート試料としてみたてた試料について、減衰ならびに速度情報を安定的に導出する方法を見いだし、P波とS波での減衰メカニズムの相違を議論し、低周波数領域における測定の重要性を見いだす論文を投稿した。また、各種地震探査データより得た減衰解析結果と比較・検証することを目的として、既存の音波検層のS波波形記録(polarityが直交している組)を用いることにより、実フィールドにおけるS波減衰異方性の有無を確認し、顕著な異方性は確認できなかったため、当該室内実験においてもS波減衰異方性の考慮の必要性がないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定的かつ信頼性のある室内実験データを取得するためには、様々な要因が複雑に絡んでおり、実験データ取得に予想外に時間を費やしている。
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Strategy for Future Research Activity |
室内実験データのみならず、数値実験を併用しつつ安定的かつ信頼性のある室内実験データの取得を試みる。最終的には、室内実験で扱うことが難しいとされている低周波数領域(各種地震探査・物理検層で使用される周波数領域:10Hzから数10kHz程度)に拡張することにより、メタンハイドレート賦存層における弾性波減衰現象の周波数依存性を一元的かつシームレスに測定・分析することを可能にする実験システムを構築する。既存実験手法を適用するとともに新規実験手法を開発し、実験システムとしての最適化を図る。さらに、これまで各種地震探査データあるいは超音波実験データより得てきた減衰解析結果と比較・検証しつつ、減衰現象の周波数依存性を説明するためのマルチスケール岩石物理学モデルを完成させ、弾性波減衰を利用するメタンハイドレート資源探査の指針を理論的に構成する。
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Causes of Carryover |
10,585円の誤差については、極めて少額であり、当初の使用計画に大きな変更があったためではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記10,585円については、少額であるため、消耗品費として使用する。
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Research Products
(4 results)