2015 Fiscal Year Research-status Report

高速イオンの乱流輸送機構の解明

Research Project

Project/Area Number	25420896
Research Institution	Japan Atomic Energy Agency
Principal Investigator	鈴木隆博国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門那珂核融合研究所, 研究主幹 (60354594)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords	プラズマ・核融合 / トカマク / 高速イオン / 乱流輸送 / 電流駆動 / 中性粒子ビーム / 国際情報交換 / アメリカ：ドイツ
Outline of Annual Research Achievements	本年度は、H26年度に研究代表者が米国DIII-D装置に赴き実施した実験データ解析の結果を、国際トカマク物理活動(ITPA)の枠組みで研究代表者がまとめた既存のデータベースと比較した。静電乱流輸送を特徴づける電子温度と電磁乱流輸送を特徴づける規格化圧力の2つのパラメータは、ITPAデータベースでは線形関係にあり静電乱流輸送と電磁乱流輸送の影響を分離できなかったが、H26年度の解析結果では電子温度と規格化圧力は単独ではITPAデータベースの範囲内ながら、それぞれ独立に振れているため新しい領域の研究データを含むことがわかった。 NB駆動電流の実験値と乱流輸送がない場合の理論値との差から乱流輸送のNB駆動電流への影響を評価し、静電乱流輸送と電磁乱流輸送の影響を分離するためのH27年度に予定していた解析については、主に研究代表者の所属研究機関での業務の多忙により不本意ながら実施することができなかった。また、研究代表者はスペインで開催された第14回ITPA統合運転シナリオ・トピカル物理グループ会合に参加し、NB駆動電流と高速イオンの乱流輸送の研究に関連した各国での最新の情報を収集し専門家と議論した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 交付申請書に記載した通り、本課題採択後に発生した研究代表者の所属研究機関業務による英国出張(H25年9月～H26年9月(1年未満))により、課題への本格的な着手時期が1年程度遅れた。これについては補助事業期間延長により対策を取ることを当初から計画してきており、H28年度への延長が認められている。加えて、主に研究代表者の所属研究機関での業務の多忙により、H27年度は予定していた米国DIII-D装置での実験データの解析、研究担当者との議論、成果発表等を計画通り進めることができなかった。このため、進捗は遅れている状況である。
Strategy for Future Research Activity	本研究課題の進捗に遅れが生じているため、H28年度は研究分担者を追加して進捗を加速させる計画である。 H28年度はH26年度に着手したDIII-D装置の既存実験データの解析を進め、静電乱流輸送と電磁乱流輸送の影響を分離する観点からまとめた上でDIII-D装置の研究担当者と議論する。加えて、乱流輸送による高速イオンの空間分布の変化や、実験での高速イオンの乱流輸送係数の評価などを行い、高速イオンの乱流輸送機構を明らかにする。高速イオンの乱流輸送のプラズマ形状に対する依存性などについては、ASDEX Upgrade装置において既存データの調査と解析を開始すべく研究担当者との調整を継続するとともに、DIII-D装置でも既存実験結果を調査し可能な場合は解析を行う。必要な場合は、計測機器の特性を調査し具体的な運転パラメータを決定して、研究担当者との議論に基づき新規実験の提案を行う。実験スケジュールによっては、H28年度に実験を行うことがあり得る。これらにより得られた成果を国内外の学会等で広く発表する。
Causes of Carryover	交付申請書に記載した通り、本課題採択後に発生した研究代表者の所属研究機関業務による英国出張(H25年9月～H26年9月(1年未満))により、課題への本格的な着手時期が1年程度遅れた。これへの対策として補助事業期間延長を行ったため、応募申請時にH27年度分として計上した額が次年度使用額として生じた。加えて、主に研究代表者の所属研究機関での業務の多忙により、H27年度は予定していた米国DIII-D装置での実験データの解析、研究担当者との議論、成果発表等を計画通り進めることができなかった。これにより応募申請時にH26年度分として計上した額のうち未実施分も次年度使用額として生じた。
Expenditure Plan for Carryover Budget	本研究課題の進捗に遅れが生じているため、H28年度は研究分担者を追加して進捗を加速させる計画である。主に米国での実験データ解析の遅れとそれに伴う実験参加と成果発表の未実施により発生した次年度使用額は、次年度に実験データの解析・実験参加と成果発表のために使用する。