2013 Fiscal Year Research-status Report
常温無機イオン液体と有機溶媒の界面でのウランの無電解析出の実現
Project/Area Number |
25420905
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 章寛 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30402952)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウラン / 電解還元 / 液液界面 / 析出 / 再処理 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
使用済燃料の再処理技術として検討されている高温溶融塩を用いた乾式再処理技術を室温で実施するために、高温溶融塩に代わる媒体「無機イオン液体」に着目した。工学的な視点に基づけば、電解によるウランの析出分離はプロセスが単純であるが、反応面積が小さいため溶媒抽出のような湿式法に比べて分離に長時間を有するという短所がある。本申請では、ウランイオンを含む無機イオン液体と還元体(Red)を含む有機溶媒を用いて、界面での酸化還元反応を実現し、UO2として析出させ分離する技術を構築する。25年度は、無機イオン液体を用いた実験を行う前に各種塩化ウラン化合物の合成(UCl4及びUCl3)を行った。まず、UCl4は、ウラン酸化物(U3O8)を出発物質として用いて塩化剤として四塩化炭素(CCl4)と反応させることによって合成した((1)式)。 U3O8 + 3CCl4 → 3UCl4 + 3CO2 + O2 (1) 実験には石英製反応管を使用し、反応後の生成物について、XRDによる相解析や、TG-DTAによる評価を行った。U3O8は黒色であるが、反応温度が400℃付近になると深緑色に変化した。またUCl4を用いてUCl3の合成も同時に行った。還元剤としてZnあるいはSnを用いた。これらの金属は比較的低融点で液体になるため、反応面積が大きくなり、高収率のUCl3の合成が期待される((2)式)。 2UCl4 + Zn → 2UCl3 + ZnCl2 (2) 反応はともに約500℃で実施した。ここで、UCl4の還元によって生じるUCl3を、ZnCl2から分離する必要がある。ZnCl2の沸点は756℃であるのでUCl3の生成を確認したのち、反応管の温度を800℃に設定し、ZnCl2を揮発されることによって単体のUCl3を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本補助金の申請と並行しながら申請していた、東北大学多元物質科学研究所との共同研究を有効に活用し、申請内容であるウラン化合物の合成が実施できた。各年度で計画していた実施内容が実施されているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、無機イオン液体と有機溶液の界面でウランイオンの酸化還元反応を生じさせるのが目的であるが、単一溶液中にてウランイオンの酸化還元挙動を正確に把握する必要がある。 ウランイオンを還元させるために必要な還元剤の選定、有機溶媒の選定等を、今までに得られた知見および文献に基づいて調査する。実験には、近年発達した液液界面電荷移動ボルタンメトリーを用いる。同法を用いれば、ウランイオンの界面における還元電位を決定することができる。有機相中の還元体の種類や濃度を変化させることで、還元反応速度、反応量を制御することが期待される。電荷移動反応が観察され、ウランイオンがUO2まで還元されれば、電解によってウランを酸化物として回収することも可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種ウラン化合物の合成に時間を要したため、25年度後半から26年度にかけて実施予定の電気化学測定の実施が若干遅れ、試薬及び電極等の物品の購入を26年度に持ち越したため。 25年度で購入予定であった試薬及び電極の購入を行い、25年度後半に開始した電気化学測定の実施を行う。
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Research Products
(3 results)