2015 Fiscal Year Annual Research Report
+5価ウランの化学的性質解明のための酸化状態安定化法の開発
Project/Area Number |
25420908
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 崇 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 教授 (90323336)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウラン / アクチノイド / 構造変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウラン(IV)とシッフ塩基型の3座配位子との反応をおこなったところ、ウラン中心が酸化されたウラニル(VI)の3核錯体が生成した。この形の錯体は、硝酸ウラニル(VI)と3座配位子およびトリエチルアミンを混合しても得られることが分かった。その際に、トリエチルアミンの添加量を調整することによって、3つのウラニル(VI)を架橋する酸素部位がオキソまたはヒドロキソになった錯体が得られることが分かった。オキソ架橋およびヒドロキソ架橋の錯体ともに単結晶を得ることに成功した。単結晶X線分析の結果、ウラン原子同士の距離およびウランと架橋オキソまたはヒドロキソの酸素原子との間の結合距離は、ヒドロキソ架橋の錯体のほうが長くなることが判明した。さらに、ウランと架橋酸素原子との結合角は、オキソ架橋錯体ではsp2型の結合角を示すのに対し、ヒドロキソ架橋錯体ではsp3型を示すことが分かった。従って、これらの錯体では、ウラン中心を架橋する配位子がオキソかヒドロキソかの違いで同形構造にも関わらず、結合角、結合距離が大きく異なる錯体になることが分かった。オキソ架橋およびヒドロキソ架橋錯体を混合したところ、両錯体間でのプロトン交換反応により、可逆的な構造変化が起こることが判明した。このプロトン交換反応における反応速度定数を1H NMRラインブロードニング法により導出した。さらに、その活性化エンタルピーおよび活性化エントロピーを算出した。
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