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2014 Fiscal Year Research-status Report

超音波照射およびピエゾ振動子を用いたメタンハイドレートの分解特性に関する研究

Research Project

Project/Area Number 25420916
Research InstitutionAkita University

Principal Investigator

内田 隆  秋田大学, その他部局等, 教授 (10564768)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大川 浩一  秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00375221)
村岡 幹夫  秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50190872)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsメタンハイドレート / ガスハイドレート / 超音波 / ピエゾ振動子 / 生成分解 / ハイドレート賦存層 / 生産試験
Outline of Annual Research Achievements

メタンハイドレートと同じ構造Ⅰ型を持ち、常圧で生成が可能なR-11ハイドレートを用いて生成分解実験を行った。R-11(液体)は水に難溶で比重も1.45(25℃)と大きくR-11ハイドレート生成にはさまざまな工夫が必要であったが、生成方法は概ね確立し、塊状ハイドレート(日本海に分布するチムニー型)だけではなく天然(南海トラフに分布する砂層型)に近い砂堆積物粒子間孔隙中に約60%、80%および100%飽和率の孔隙充てん型ハイドレートを生成できるようになった。
超音波を水に照射すると振動子の垂直方向に放射圧が加わり、音圧変化が著しい腹では微細気泡が生成し音圧変化に伴って膨張収縮を繰り返し、圧壊すると局所的に衝撃波が生ずる。微細気泡は定常波の腹で水の分子間力を上回る負圧状態になったときに生成することから、この負圧状態を利用することによってハイドレートの分解を促進できる。負圧により生じた微細気泡の働きを確認するため、シート状プレスケール(圧力分布画像解析システム)を用いることとしたが、水中でも使えるように工夫し投げ込み型の振動子を用いて圧力分布を測定した結果、腹において(3/4波長の位置)圧力は0.2から0.75MPaであることが分かった。超音波照射による放射圧の影響を除去するためにプレスケールを振動子面に垂直に設置したところ、腹の位置だけではなく全体にキャビテーションによる圧力分布(1MPa以下)が確認された。
厚さ25mmと50mmのR-11ハイドレートを大気中で10 ℃にて分解させ、昨年度に実施した計測用コンデンサーマイクロフォンに続いてアコースティックエミッション(AE)信号の測定を行って周波数解析を行うとともに、分解時におけるAE発生数を測定した結果、分解時に発生するAEが大きくなるにつれて1MHz以下の周波数成分が増加することが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.ハイドレート試料作製:常圧で生成が可能なR-11ハイドレート生成は、塊状の試料だけではなく、天然を模した砂堆積物粒子間孔隙中に異なる飽和率で生成することができるようになった。また、実体鏡によってハイドレート生成と分解を観察しているが、微小なハイドレートは室温ではすぐに分解してしまうため、工夫策を検討中である。
2.超音波発振装置による分解実験:超音波を液体水に照射すると振動子の垂直方向に放射圧が加わり、音圧変化が著しい腹では微細気泡が生成して物理的不安定となると圧壊して局所的に衝撃波が生ずる。負圧により生じた微細気泡の働きを確認するため、シート状感圧紙であるプレスケールを用いて超音波照射による圧力分布の把握を試みた。当該製品は水中での使用ができないため、試行錯誤的にプレスケールを水中でも使えるように工夫した。その結果、腹において(3/4波長の位置)プレスケールにかかる圧力は0.2から0.75MPaであり、放射圧の影響を除去したところ全体にキャビテーションによる圧力変化(1MPa以下)が確認された。
3.メタンハイドレートの分解特性の把握:ハイドレートの分解特性を把握するため、昨年度に実施した計測用コンデンサーマイクロフォンに引き続きAE信号の測定を行って周波数解析を行うとともに、分解時におけるAE発生数を測定した結果、分解時に発生するAEが大きくなるにつれて1MHz以下の周波数成分が増加することが確認された。分解時におけるAE発生数は、AEセンサからの熱伝導の影響を受けて、ハイドレートが厚くなるとAE発生数が少なくなった。AE発生数はAEセンサからハイドレートへの熱伝導の影響を大きく受けることから、ハイドレートが厚くなるとAEセンサからハイドレートへの熱伝導が内部に分散しやすく接触部近傍の温度が上昇しにくいことから分解が抑制されたため、AE発生数が少なかったと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今年度までの実験によって、超音波照射によるハイドレートの効果的な分解が確認された。今後は引き続き、超音波による塊状ハイドレート(チムニー型)および砂堆積物充てんハイドレート(砂層型)の分解特性について、温度圧力範囲(ハイドレート含有砂層が分布する地下状態:3~10℃、8~12MPa)および超音波周波数範囲(28KHz~1MHz)、ハイドレート分解態様および効率との相関性を検討するとともに、ハイドレート分解の際に発生する微小振動音を圧電センサ(近年医療における聴診器に応用されている密着性が良く高感度の圧電フィルムセンサ:PVDFピエゾ振動子)またはAEセンサなどによって検出し、周波数/音圧レベル分布を詳細に解析して、ハイドレートの分解メカニズムを明らかにしたい。また、ハイドレート分解時のサーモグラフィによる温度分布とプレスケールによる圧力分布をより正確に把握するとともに、メタンハイドレートのより効率的な分解の態様を調べることとしたい。
分解実験の際の水中での圧力変移の2次元的な分布を把握するために、プレスケールを導入し、試行錯誤的に工夫を重ねて水中でも使用することができ、ある程度良好な圧力分布が得られた。今後は、これによって超音波照射による微細な圧力変化を観測するとともに、ピエゾ振動子によって感知される振動が圧力変動からどのような影響を受けるか定量的な評価に結び付けていきたい。ハイドレート分解による振動音の検出については、昨年度圧電センサでは検出できず計測用マイクロフォンを用いた。今年度はより感度の高いAEセンサを用いて振動音を検出することができた。
一昨年に実施された南海トラフ東部域におけるメタンハイドレート生産試験(第1回海洋産出試験)の結果を参照しながら、今後予定されている第2回海洋産出試験において、生産効率化への補助手段としての超音波照射の有効性を実証していきたい。

Causes of Carryover

超音波照射による微細な圧力分布の変化を観測する圧力画像解析システムであるプレスケールが水中仕様ではなかったため、水中で利用できるように様々な工夫によって利用可能であることが分かった。このため、購入が今年度となったことから、プレスケールや振動子関連の消耗品類の購入が後送りとなったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

プレスケールの活用とともに、プレスケールや振動子関連の消耗品類を購入したい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Age Determination and Sedimentary Paleoenvironment of Sandy Sediments Possibly Hosting Gas Hydrate in the Eastern Margin of Japan Sea: MD1792014

    • Author(s)
      Uchida, T., Sasaki, S., Takashima, I., and Matsumoto, R.
    • Journal Title

      Proceedings of the International Conference of Gas Hydrate

      Volume: 8 Pages: 1 9

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] arly Diagenetic Changes of Sediment Pore Properties Beneath the Seafloor and Their Contributions to Gas Hydrate Concentration in the Eastern Margin of Japan Sea2014

    • Author(s)
      Uchida, T., Horiuchi, S., Kato, Y. and Matsumoto, R.
    • Organizer
      AGU
    • Place of Presentation
      San Francisco
    • Year and Date
      2014-12-16
  • [Presentation] AGE DETERMINATION AND SEDIMENTARY PALEOENVIRONMENT OF SANDY SEDIMENTS POSSIBLY HOSTING GAS HYDRATE IN THE EASTERN MARGIN OF JAPAN SEA: MD1792014

    • Author(s)
      Uchida, T., Sasaki, S., Takashima, I., and Matsumoto, R.
    • Organizer
      8th International Conference of Gas Hydrate
    • Place of Presentation
      Beijing
    • Year and Date
      2014-07-29
  • [Presentation] 日本海東縁海底下堆積物の堆積環境と孔隙特性 (Sedimentary environments and pore properties of subseafloor sediments in the eastern margin of Japan Sea)2014

    • Author(s)
      内田 隆・堀内 瀬奈・加藤 有希・松本 良
    • Organizer
      地球惑星連合合同大会平成26年一般講演
    • Place of Presentation
      Yokohama
    • Year and Date
      2014-05-27

URL: 

Published: 2016-05-27  

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