2014 Fiscal Year Research-status Report
ラテックスを利用した電気二重層キャパシタの可逆性増大手法
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25420920
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
陳 競鳶 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50311676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西海 豊彦 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10377476)
青木 幸一 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80142264)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電気二重層の考え方 / 電気二重層キャパシタ / ナノ電極の製作 / ボルタメトリー / イオン化した微粒子 / 統計力学 / 固体電解質 / ラテックス微粒子の合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
静電容量の実際の厚さが分子大なので、電気二重層の静電容量は電極の微視的表面積だけで決まる。電極に垂直方向へのイオン分布を考慮するGCS理論は、電気二重層キャパシタの考え方と異なることを証明し、電気化学測定の結果と整合しないことを示した。26年度における電気二重層キャパシタへの実用に向く研究結果は以下のとおりである。 (1) 溶媒の依存性:13種類の溶媒を用い、それぞれ、分極ポテンシャル領域におかれた二本の平行な白金線電極間の交流インピーダンスを測定し、得られたインピーダンス値を解析した。①界面抵抗は二重層容量と平行の等価回路になるように含まれている。②ハライドイオンの白金電極での二重層静電容量は、ポテンシャルに無関係である。③二重層静電容量はイオンの濃度に無関係であった。静電容量は溶媒の直径や双極子モーメントではなく、電極上に配向した双極子の長さで決まることを示している。 (2) 電気二重層構造におけるイオンの役割: スルホン酸ラテックス懸濁液の微粒子から解離した水素イオンにより、極めて低いイオン濃度における電気二重層容量Cpの測定ができた。白金電極での静電容量は、イオン分布に依らず、溶媒の双極子モーメントにより制御され、溶媒の配向により生じる。イオンの分布による静電容量のみを考慮するGouy-Chapman理論に従わなかった。 (3) 静電容量の周波数依存性: 分散した酸化グラフェン片を電極上に積層した後、還元させ、その膜の静電容量が交流インピーダンスを測定した。その静電容量と積層膜の厚さの関係、さらに、その周波数依存性を求めた。積層膜が10 nm以上になると、静電容量の周波数依存性が大きくなった。静電容量の周波数依存性の実験式を提案し、そのモデルを考察した。 (4)実験結果に基づくモデルの構築およびモデル計算を並行して行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の75%に至る研究結果が得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 26年度の結果によりモデルの再構築およびモデル再計算。その考えを基礎実験によって証明、その正当性を理論的に示す。 (2) ナノ電極の作製および組み合わせ。測定装置の再調整。実用に向く最適条件を見つける。不適であれば(1)へ戻る。 (3) 電気化学測定・データ解析と計算理論を同時的に行い、各変数の影響を調べるため、変数を一つずつ動かしてみる。できるだけ解析解が出るような形のモデルの再構築も行う。それらをすべて取り込んだとき、実験で得られる電気二重層キャパシタが得られる。それらの変数を変えたときの実験的検証を行う。(1)と並行して行なっている。
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