2013 Fiscal Year Research-status Report
化学蓄熱を用いた太陽光熱利用高温蒸気生成システムの開発
Project/Area Number |
25420923
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中曽 浩一 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40363379)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 熱工学 / 化学蓄熱 / ヒートポンプ / 伝熱促進 |
Research Abstract |
太陽光熱利用に適した構造を有する新規化学蓄熱ユニットの開発を目的として,本年度は,化学蓄熱装置の核である,吸着材粒子充填層内で生じる熱,物質移動,吸着・脱着現象,水の相変化を考慮した数値解析モデルを作成し,蒸気生成および吸着材再生それぞれについて,実験結果と比較し,解析モデルの妥当性を確認した. 作成した解析モデルを用いて,各工程における操作条件が,蒸気生成および吸着材再生の性能に及ぼす影響を検討した.蒸気生成では,高温蒸気が安定に生成するためには一定の層高さが必要であることを示した.吸着材再生に関しては,再生初期の乾燥過程では,雰囲気湿度の影響,すなわち物質移動の影響は少なく,伝熱の影響が大きいことがわかった,また,再生後半の脱着過程では,物質移動および伝熱の影響が大きいことがわかった.これらの結果は,減圧条件でも同様であることがモデルだけでなく,実験でも確認できた. 再生速度を向上させるための具体的な手法として,吸着材粒子充填層の熱伝導促進に加え,吸着材の加工による自由水保持量の低減を提案した.具体的には,吸着材を表面処理し,自由水の低減を検討した. システムに適した吸着材の探索について,平成26年度実施項目を前倒しでスタートさせた.電動弁を制御し,自動で吸着‐再生を繰り返す装置を作製し,いくつかの吸着粒子を試験した.その結果,球状粒子の方がペレット粒子よりも繰り返し使用時の粒子耐久性が高いことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学蓄熱装置設計に関する移動現象モデルによる検討は,目標としていた装置設計の指標となる図表作成までには至っていないが,その基礎となる,蒸気生成および吸着材再生の性能に及ぼす操作条件の影響に関して評価を進めたので,概ね順調と判断する. 再生速度を向上させるための具体的方策検討として,計画書に記載していた伝熱促進の検討は十分できなかったが,計画書にはなかった吸着材の表面処理という新しいアプローチを提案し,着手できた.これは,伝熱促進による改善ではなく,そもそも,装置内に残留する水の量を減らし,再生に要するエネルギーを低減しようとするものである.将来的には,これに伝熱促進を組み合わせれば,さらなるブレークスルーが期待できる.よって,このような新しい方策に着手できたことは大変有意義であったと考える. また,吸着材探索のための評価系装置の作製,および吸着材評価は次年度検討事項を前倒しで検討できたため,計画よりも大きく進行できている. 以上の結果から,一部遅れが生じている箇所もあるが,前倒しで検討を進めることができた部分もあるため,全体的には「おおむね順調」と判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
当面の検討事項として,解析モデルによる装置設計指標の作成を進める.この指標に基づいて充填層内の伝熱促進法を検討し,システム開発に必要な基礎データの取得を行う.また,平成25年度に開始した吸着材の表面処理に関する検討も合わせて進め,得られた知見をもとに化学蓄熱装置の操作条件を決定し,実証試験を行う予定である.
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