2014 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症発症機序におけるイノシトール6リン酸キナーゼの役割
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25430014
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永田 栄一郎 東海大学, 医学部, 准教授 (00255457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / イノシトール6リン酸キナーゼ2 / 脊髄前角細胞 / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
変異型SOD1マウス脊髄のイノシトール6リン酸キナーゼ2(IP6K2)の発現状況の検討より、歩行障害などの発症前よりIP6K2の発現が上昇していることを発見した。よって、IP6K2が、ALS発症前の診断マーカーになり得る可能がることを報告した。 また、IPK2コンディショナル。トランスジェニックマウスは、運動神経系だけに特異的にIP6K2を過剰に発現させるマウスの作成に成功した。しかし、IP6K2の発現コピー数が少ないこともあり、生後6か月まで行動観察をしているが明らかな表現型の変化は認めていない。組織学的には、このコンディショナル・トランスジェニックマウスにおいて、脊髄前角細胞で、IP6K2が、核内より細胞質に多く染色されている像を認めており、培養細胞と同様にIP6K2の核内から細胞質へのトランスロケーションが観察できている。今後はIP6K2を活性化させるために様々なストレスをかけて、症状の発現を観察したり、他のALSモデルマウスとの交配により、症状の発現を確認していく予定である。 さらに、ヒトALSおよびコントロール(脳疾患以外)剖検脊髄凍結検体を用い、脊髄前角細胞だけを採取するマイクロダイセクション法に成功し、IP6Kの発現を観察した。その結果、脊髄前角細胞では、IP6K2がALS検体でコントロールと比較し有意に発現が上昇しており、サブタイプであるIP6K1、3の発現はコントロール検体を含めて、ヒトではほとんど発現してないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異型SOD1マウスに関しての研究は、成果が出ており、現在論文作成中である。 IP6K2コンディショナル・トランスジェニックマウスに関しては、現在まで、明らかな表現型が表れていない。原因として、予想以上にIP6K2の発現が弱いマウスが出来上がったと思われる。 また、ヒト髄液中のIP6やIP7測定に関しては、現在様々な方法を工夫して測定を試みているが、未だに感度が悪く、定量できるまでの精度がない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、様々なストレス負荷をかけて、IP6K2をより活性化させて、表現型が現れるかを検討する。また、他のALSモデルマウス(SOD1マウス、ADAR2コンディショナル・ノックアウトマウス)との交配を行い、ALS様症状の発現の増強や、症状の消失を検討する。
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Causes of Carryover |
マウス飼育や実験費用に関する諸費用として、使用予定であったが、当大学の東海大学生命科学統合支援センターの請求書が3月末日のために、今年度の支払期限に間に合わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のマウス飼育費や実験費として使用予定である。
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