2014 Fiscal Year Research-status Report
小脳プルキンエ細胞におけるリアノジン受容体を介した樹状突起形成制御機構の解明
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25430040
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 正彦 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60267953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リアノジン受容体 / カルシウム / プルキンエ細胞 / 樹状突起 / 小脳 / siRNA / 単一細胞エレクトロポレーション / CaM kinase |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究によって、プルキンエ細胞で発現するリアノジン受容体1型が樹状突起形成に重要な役割を果たすことが明らかになった。本年度は、リアノジン受容体の下流で活性化し樹状突起形成に影響を与えることが予想されるシグナル分子(カルシウム依存的に活性化する蛋白質リン酸化・脱リン酸化酵素及びそれらの調節因子)について、そのsiRNAを単一細胞エレクトロポレーションを用いて導入し、樹状突起形成への影響を調べた。CaMKIb、CaMKIIa、CaMKIIb、CaMKIVの各siRNA及びそれらの組み合わせを導入したところ、単独のsiRNA導入による影響は現れなかったが、CaMKIIa、CaMKIIb、CaMKIVのsiRNAを同時に導入すると樹状突起の分枝が抑制された。これより、リアノジン受容体の下流でCaMKIIa、CaMKIIb、CaMKIVが働いて樹状突起形成を促進する可能性があること、その際にはCaMKIIa、CaMKIIb、CaMKIVに共通する基質のリン酸化が重要な役割を果たすことが示唆された。また、DARPP-32、CPI-17の各siRNA及びそれらの組み合わせの導入も試みたが、いずれの場合も樹状突起形成への影響は見られなかった。 一方で、単一細胞エレクトロポレーションによってプルキンエ細胞に発現プラスミドを導入して遺伝子の強制発現を行う実験系の構築を行った。GFP発現プラスミド (5.5 kbp) を用いた強制発現を試みたところ、通常の方法によってはGFPが発現しなかった。しかし、通常の内径 (0.75 mm) よりも大きな内径 (0.94 mm) のガラス管から作製した微小電極を用いたり、プラスミドを制限酵素処理して小さく (3.3 kbp) することによって、GFPを強く発現させることに成功した。最適条件で発現させた細胞では、GFPの発現が20日以上持続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一細胞エレクトロポレーションを用いたsiRNA導入という独自の手法を生かして、プルキンエ細胞に対して多種類のsiRNA及びそれらの組み合わせを導入してその効果を解析し、リアノジン受容体の下流で活性化し樹状突起形成に影響を与えるシグナル分子の候補を見出すことができた。また、単一細胞エレクトロポレーションを用いた遺伝子強制発現にも成功した。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.プルキンエ細胞の樹状突起形成に関与する、CaMKIIa、CaMKIIb、CaMKIVに共通する基質を探索する。 2.リアノジン受容体と同じく細胞内カルシウム放出チャネルであるIP3受容体について、ノックアウトマウスを用いた研究では、プルキンエ細胞で発現するIP3受容体は樹状突起形成に関与しないことが報告されている。しかし、IP3受容体をリアノジン受容体と同時に発現抑制すれば、IP3受容体の発現抑制効果が現れる可能性がある。そこで、IP3受容体とリアノジン受容体のsiRNAを単一細胞エレクトロポレーションを用いて同時に導入し、リアノジン受容体のsiRNAのみを導入した時と比較して樹状突起形成抑制効果が強まるかを調べる。 3.成熟したプルキンエ細胞においてはGluR2が強く発現しておりAMPA受容体がカルシウム非透過性であるが、幼弱なプルキンエ細胞においてはGluR2の発現が弱いためAMPA受容体がカルシウム透過性である可能性がある。このようなカルシウム透過性AMPA受容体が、リアノジン受容体とともにプルキンエ細胞の樹状突起形成に関与する可能性について検討する。 4.単一細胞エレクトロポレーションを用いた遺伝子強制発現系を構築できたので、siRNA導入によって樹状突起形成に影響が現れる遺伝子を強制発現させて表現型が回復することを確認する。
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Causes of Carryover |
ぴったり使い切ることができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要な物品費または旅費にあてる。
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[Journal Article] ZIP2 protein, a zinc transporter, is associated with keratinocyte differentiation2014
Author(s)
Yu Inoue, Seiji Hasegawa, Sadanori Ban, Takaaki Yamada, Yasushi Date, Hiroshi Mizutani, Satoru Nakata, Masahiko Tanaka, Naohide Hirashima
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 289
Pages: 21451-21462
DOI
Peer Reviewed
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