2014 Fiscal Year Research-status Report
多系統萎縮症における認知機能障害の責任病巣:臨床病理学的検討
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25430048
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
他田 真理 新潟大学, 脳研究所, 助教 (30646394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下畑 享良 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (60361911)
西澤 正豊 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80198457)
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臨床病理学的研究 / 病理学的定量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
解剖学的に、多系統萎縮症(以下MSA)における主要変性部位の一つである線条体と大脳皮質がループ回路を形成していることに着目し、MSAにおいて、大脳皮質ー基底核ループ回路の変性が認知機能障害の発症に関与している可能性を考え、研究を進めた。 平成26年度は、前年度に得られた観察所見、すなわち、症例間で前頭前野における神経細胞脱落に程度の差があること、線条体においては、尾側外側に変性が限局している症例から吻側に及んでいる症例まで変性の程度と広がりに大きな幅があること、そして、オリゴデンドロサイトや神経細胞内のリン酸化αシヌクレイン陽性構造物の出現頻度がある程度神経細胞脱落に相関する傾向があることを踏まえて、定量的評価を加え、臨床像との相関を検討した。 定量評価として、免疫組織化学による神経細胞標識は安定性が不十分であったため、ヒトニューロフィラメントを標識するRNAプローブを用い、ジゴキシゲニン標識によるin situ hybridization法で神経細胞を標識し、リン酸化αシヌクレインに対する免疫組織化学を重ね、二重標識した切片を用いた。この結果、神経細胞脱落については、大脳皮質、吻側被殻では認知症を認めた群と認めなかった群で差はなかった。一方、尾状核については認知症を認めた群で神経細胞脱落が強い傾向が見られたが、現在まで行った10例の検討では有意差検出に至らなかった。これについて、現在、多数例での検討、および、これまで集積してきた臨床情報(罹病期間や、臨床病型など)との相関解析を進めている。 現時点までの結果より、大脳基底核の最吻側に位置し、辺縁系や前頭連合野とループを形成する尾状核の変性がMSAにおける認知症の顕在化に関与している可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した通り、多系統萎縮症の前頭前野および吻側線条体における神経細胞脱落の評価を定量的に進めた。その結果、想定した様に、症例間でそれらの部位の神経細胞脱落の程度に差があることが明らかになった。現時点では、臨床的認知症の有無とそれらの部位の神経細胞脱落に有意な相関は得られていない。しかし、最吻側の線条体である尾状核の神経細胞脱落が認知症を呈した例で強い傾向が見いだされた。これについてはさらに解析を進めているところであり、多数例での検討やMRIによるvolume変化評価も検討している。以上より、平成26年度は概ね交付申請書の通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の計画に沿って、現時点で認知機能低下との相関傾向が見られている尾状核の他、淡蒼球、視床、視床下核といった大脳皮質ー基底核ループ回路に含まれる他部位の変性、およびリン酸化αシヌクレイン陽性封入体の出現についても定量的に解析して行く。また、神経細胞脱落は、変性によるcompactationによりマスクされるため、MRI画像により、諸核のvolume変化解析も行いたい。これにより、MSAにおける認知症の発症に対する大脳皮質ー基底核ループ回路の関与を明らかにして行きたい。
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Causes of Carryover |
計画遂行に当たり要した、病理学的解析に用いる抗体や試薬、標本作製に使用するガラス製品等の消耗品の物品費が当初の見積もりよりも若干低く留まったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで行ってきた病理学的解析と臨床情報解析を継続し、論文として要約し公開していくために使用する(主に消耗品のための物品費と論文校正費)。また、交付申請書の計画のとおり、研究成果を報告して行くための旅費にも一部使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Globular Glial Mixed Four Repeat Tau and TDP-43 Proteinopathy with Motor Neuron Disease and Frontotemporal Dementia.2016
Author(s)
Takeuchi R, Toyoshima Y, Tada M, Tanaka H, Shimizu H, Shiga A, Miura T, Aoki K, Aikawa A, Ishizawa S, Ikeuchi T, Nishizawa M, Kakita A, Takahashi H.
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Journal Title
Brain Pathol.
Volume: 26
Pages: 82-94
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] C9ORF72 repeat-associated non-ATG-translated polypeptides are distributed independently of TDP-43 in a Japanese patient with c9ALS.2014
Author(s)
Konno T, Tada M, Shiga A, Tsujino A, Eguchi H, Masuda-Suzukake M, Hasegawa M, Nishizawa M, Onodera O, Kakita A, Takahashi H
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Journal Title
Neuropathol Appl Neurobiol
Volume: 40
Pages: 783-8
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Haploinsufficiency of CSF-1R and clinicopathologic characterization in patients with HDLS.2014
Author(s)
Konno T, Tada M, Tada M, Koyama A, Nozaki H, Harigaya Y, Nishimiya J, Matsunaga A, Yoshikura N, Ishihara K, Arakawa M, Isami A, Okazaki K, Yokoo H, Itoh K, Yoneda M, Kawamura M, Inuzuka T, Takahashi H, Nishizawa M, Onodera O, Kakita A, Ikeuchi T.
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Journal Title
Neurology
Volume: 82
Pages: 139-48
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Pathology and sensitivity of current clinical criteria in corticobasal syndrome.2014
Author(s)
Ouchi H, Toyoshima Y, Tada M, Oyake M, Aida I, Tomita I, Satoh A, Tsujihata M, Takahashi H, Nishizawa M, Shimohata T.
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Journal Title
Mov Disord
Volume: 29
Pages: 238-44
DOI
Peer Reviewed
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