2013 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍組織内血管周囲微小環境における腫瘍随伴マクロファージの役割
Project/Area Number |
25430051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 惇 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80225862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 英明 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40282389)
本間 琢 日本大学, 医学部, 助教 (00307852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミクログリア / マクロファージ / グリオーマ / 脳腫瘍 / 血管新生 / 腫瘍随伴マクロファージ / M2マクロファージ / M1マクロファージ |
Research Abstract |
今年度我々は,ヒトglioblastoma(GB)組織内の微小血管増殖(microvascular proliferation:MVP)部におけるtumor-associated macrophages (TAM)を免疫組織化学的に検討し、その形態学的特徴を明らかにした. 【方法】2009年から2012年にかけて埼玉医科大学国際医療センターで得られた30例のGBを研究対象とした.全例のホルマリン固定パラフィン包埋切片において,一次抗体として、Iba1、CD68,MHC class II,CD163,CD204,CD31,CD34,alpha-smooth muscle actin(SMA),Ki-67を用いた免疫組織化学的検討を行った.さらに一部の症例でIba1/SMA,ないし,Iba1/CD204の蛍光二重染色を施行した. 【結果】30例全例のGBにおいてMVPが観察され,MVP内外にIba1陽性のTAMが認められ,約2/3の症例では多数のTAMが観察された.MVP部のTAMは,M2マクロファージのマーカーであるCD204をIba1と同程度に発現していた.他のM2マクロファージマーカーであるCD163陽性細胞はCD204陽性細胞より少なかった.一方,M1マクロファージマーカーであるMHC class II陽性TAMは多くの例でごく少数であった.蛍光二重染色では,Iba1陽性TAMとalpha-SMA陽性血管周皮細胞は明瞭に区別され,しばしば接して観察された.また,TAMにおけるIba1とCD204の共発現が確認された. 【結論】ヒトGBのMVPでは,TAMがconstantに浸潤しており,それらのTAMはCD204陽性のM2タイプが多く,M1タイプは少ないことが示された.さらに,MVPの内部においてTAMが血管周皮細胞の増生に直接関与する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトglioblastomaのTAMについてはほぼ予定どおりに研究が実施された.しかし,予定されていたS-100β-v-erbB transgenic ratの解析は進まなかった.その原因は,ヒトglioblastomaの解析に予想よりも長い時間がかかったことが第一と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトglioblastomaでのTAMのマーカーでは,Iba1とCD204が強い発現があることが確認されたので,両者の発現率,alpha-SMA陽性血管周皮細胞陽性率,CD34陽性血管内皮細胞陽性率,腫瘍細胞増殖能,患者予後との相関解析を施行し,客観的データを求めて行く. MVPでのTAMの由来やMVPとTAMの位置関係解析のために3次元解析,3D画像の解析を試みる. 上記の実験ラットグリオーマのMVPでのTAMについて,免疫組織化学的検討,電子顕微鏡による超微形態学的検討を行う.さらに,TAMの遺伝子発現解析のためにサンプル回収も行っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度研究予定の実験ラット脳腫瘍およびヒト悪性グリオーマでの実験が遅れてすすまなかったために次年度使用額が生じました. 物品費として免疫組織化学試薬と生化学・遺伝子関連試薬を購入します.成果発表のために旅費と論文投稿料に使用します.さらに,論文および国際学会発表の英文校正費用に用います.
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Research Products
(2 results)