2014 Fiscal Year Research-status Report
光酸化を用いた大脳皮質-視床フィードバック経路の選択的抑制
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25430067
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
今村 一之 前橋工科大学, 工学部, 教授 (30203326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 洋祐 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, チームリーダー (40291033)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 逆行性標識 / フィードバック投射 / 第一次視覚野 / 外側膝状体 / 感受性期 / 細胞外記録 / 光酸化 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
初期視覚経路では、外側膝状体から第一次視覚野への神経投射について詳細な研究が展開されてきたが、第一次視覚野から外側膝状体へのフィードバック投射の機能については、これまで十分に検討されてこなかった。それは、このフィードバック投射のみを選択的に抑制、あるいは除去することが極めて困難であったからである。本研究では、解剖学的逆行性標識物質(Latex Microsphere)にChlorin e6を結合させたトレーサを作製し、これを外側膝状体に注入することで視覚野のフィードバック投射の起始ニューロンを選択的に染色し、視覚野へのレーザ照射によってこれらにアポトーシスを誘導する (Targeted Apoptosis) ことで選択的に除去する。本年度は、トレーサを安定して作製すること(研究分担者担当)、トレーサのラット外側膝状体への正確な注入法の確立を目指して実験を進めた。トレーサを正確に注入するためには、微少電極法を用いて、外側膝状体ニューロンの光反応を記録し、脳深部に存在する神経核の空間的な位置を把握する必要がある。一方、この作業に時間がかかり過ぎるとトレーサ注入後に動物を回復させることが困難になってしまう。特に感受性期にある幼弱ラットにおいては脳地図が存在しないために、正確なトレーサ注入の為には電気生理学的記録が不可欠である。本年度は、上記の実験を繰り返し、正確なトレーサ注入法の確立に努力した。また、注入にかかる時間短縮の為、アポトーシスの誘導はレーザ照射によりある程度詳細にコントロールできることから、多量のトレーサを注入した際の効果についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外側膝状体へのトレーサの注入には、どうしても経験によるところが大きく、熟練を必要とする。特に幼弱動物で外側膝状体の空間的広がりの把握に時間がかかり、動物をリバイブするところで失敗を繰り返してきた。Chlorine e6を結合させたトレーサは貴重であるため、正確な注入ができないと実行が難しい。その技術的な問題の確立に時間が必要となっている。しかし、多量投与法を含め、問題解決の糸口はつかめており今後遅れを取り戻せる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
脳地図の基本的位置情報を与える頭蓋骨縫合線の定固定座標から動物の週齢が異なっても外側膝状体の位置を推定することが可能になってきており、実験を繰り返したことで技術的な向上を図ることができてきている。今年度は、Chlorin e6が結合したトレーサを正確に注入することができるようになると思われる。申請計画に沿って実験を加速させる。
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Causes of Carryover |
最終年度の実験研究の実施のため、特にレーザ照射にかかる機材を分担研究者の施設から借用する計画を立てていたが、使用頻度等の関係で代表者の研究室に常備する必要があることが判明した。その購入を当該年度は延期したため、計画に従い、試薬、実験動物、ガラス器具等の消耗品を購入することになったが、値引き等、カタログ価格と異なったために767円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Targeted Apoptosisの実験の為のレーザ装置、アポトーシス検出の為の試薬一式、実験動物、ガラス器具等, いずれかへの購入のために使用を計画している。
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