2014 Fiscal Year Research-status Report
脳神経系における硫化水素の二次メッセンジャー8-メルカプト-cGMPに関する研究
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25430069
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
居原 秀 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60254447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 8-メルカプト-cGMP / 8-二トロ-cGMP / システインパーサルファイド / 活性イオウ分子種 / 一酸化窒素/活性酸素シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化水素が「第三のガス状メディエーター」として注目され、脳神経系においても様々な生理・病理機能が報告されてきた。しかしながらその産生機構、作用機構の詳細に関しては不明であった。我々は、一酸化窒素/活性酸素シグナルの二次メッセンジャーとして、8-二トロ-cGMPを世界に先駆けて発見し、神経機能を含め様々な生理・病理機能を発揮することを報告してきた。また、8-二トロ-cGMPは硫化水素関連物質と反応し、8-メルカプト-cGMPに変換されることを発見した。本研究では脳神経系における8-メルカプト-cGMPの産生機構、およびその生理病理作用を解明することを目的とした。 平成26年度は、生体内で機能する硫化水素関連物質として、システインのSH基にイオウが過剰に付加したシステインパー(ポリ)サルファイドが生体内に多量に存在することを示した。これらのパーサルファイドを含む化合物は活性イオウ分子種と命名された。また、生体において硫化水素はほとんど産生されず、活性イオウ分子種が生体内で主に機能していることを報告した。活性イオウ分子種は、8-二トロ-cGMPと反応し、効率よく8-メルカプト-cGMPに変換されることを明らかにし、8-メルカプト-cGMPが活性イオウ分子種の二次メッセンジャーである可能性を示した。また、機能解析として、ラット小脳初代培養神経細胞を用い、メチル水銀毒性試験を行ったところ、メチル水銀処理によって、活性イオウ分子種の減少に伴い、8-二トロ-cGMPから8-メルカプト-cGMPの変換が抑制されることを見出し、メチル水銀毒性の新たな毒性発現機構を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度以降「脳神経系における8-メルカプト-cGMPの産生」、「8-メルカプトcGMPの生理・病理作用」を研究する予定であった。 「脳神経系における8-メルカプト-cGMPの産生」に関しては、脳や培養神経細胞で、LC-MS/MSを用いた定量的検出法、抗体を用いた蛍光免疫染色法で検出に成功し、また、活性イオウ分子による産生機構を明らかにした。 「8-メルカプトcGMPの生理・病理作用」に関しては、初代培養神経細胞を用い、メチル水銀毒性試験を行い、メチル水銀毒性への8-メルカプトcGMPの関与を示唆する結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
「8-メルカプト-cGMPの産生」に関しては、脳や培養神経細胞で、LC-MS/MSを用いた定量的検出法、抗体を用いた蛍光免疫染色法で検出をする。病理機能との関連、また、活性イオウ分子種との関連についても解析する。 「生理・病理作用」に関しても、引き続き初代培養神経細胞を用い、メチル水銀毒性試験を行いう。平成25年度に作作製した膜透過性8-メルカプト-cGMPを用い、詳細な検討を進めていく。
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[Journal Article] Reactive cysteine persulfides and S-polythiolation regulate oxidative stress and redox signaling2014
Author(s)
Ida T, Sawa T, Ihara H, Tsuchiya Y, Watanabe Y, Kumagai Y, Suematsu M, Motohashi H, Fujii S1 Matsunaga T, Yamamoto M, Ono K, Devarie-Baez NO, Xian M, Fukuto JM, Akaike T.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 111
Pages: 7606-7611
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Metabolism of 8-nitro-cGMP and regulation of electrophilic signaling by reactive sulfur species2014
Author(s)
Ida T, Sawa T, Ihara H, Tsuchiya Y, Watanabe Y, Kumagai Y, Motohashi H, Fujii S, Matsunaga T, Yamamoto M, Ono K, Fukuto J, Akaike T
Organizer
第8回国際NO学会学術集会
Place of Presentation
Cleveland、USA
Year and Date
2014-06-16 – 2014-06-20
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