2013 Fiscal Year Research-status Report
神経回路形成におけるコンドロイチン硫酸とヘパラン硫酸の対立的機能のメカニズム
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25430081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
前田 信明 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, プロジェクトリーダー (90202308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神村 圭亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 主席研究員 (30529524)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / ヘパラン硫酸 / 神経回路 / ショウジョウバエ / 子宮内胎仔電気穿孔法 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)およびヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は脳神経系の細胞外基質の主成分であり、成長因子などの様々なリガンドと結合することにより、神経回路形成に重要な役割を果たしている。両者は、同一のリガンドに同程度の親和性で結合することが多いにもかかわらず、対立的な機能を果たしていると考えられている。しかしながら、神経回路形成において、両者にどのような機能的差異があるのか、また、両者の結合蛋白質にはどのような共通性と差異が見られるのかについては、ほとんど明らかにされていない。本年度は、神経回路形成におけるCSPGとHSPGの役割を明確にするために、マウス大脳皮質形成におけるCSPGの機能解析と、ショウジョウバエ神経筋接合部形成におけるHSPG結合蛋白質の網羅的解析を開始した。 子宮内胎仔電気穿孔法を用いて胎齢14日目のマウス大脳神経幹細胞にGFP発現プラスミドを導入した。その2日後に胎仔大脳スライスを作製し、コンドロイチナーゼABC存在下で培養して、GFP陽性の新生ニューロンの挙動をタイムラプス観察した。コントロールでは、新生ニューロンは紡錘型の形態をとり、脳表に向かって活発に移動するのが観察されたが、コンドロイチナーゼABC存在下では、極性が乱れ移動が顕著に阻害されていた。このことは、CSPGは大脳皮質において、新生ニューロンの極性変化および細胞移動に重要な役割を果たしていることを示している。 また、ショウジョウバエ幼虫から摘出した筋肉標本(神経筋接合部を含む)をヘパリン処理し、遊離してくる蛋白質をプロテオーム解析によって網羅的に解析した。その結果、既知のHSPG結合蛋白質であるLipophorinやNidogenを含む多数の蛋白質が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、CSPGとHSPGの機能およびシグナル伝達機構の差異を明確にすることを目標としている。本年度は、まずマウス大脳皮質におけるCSPGの機能解析およびショウジョウバエ神経筋接合部におけるHSPG結合蛋白質の網羅的解析を開始した。どちらも、順調にデータが出始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、マウス大脳皮質におけるCSPGの機能解析およびショウジョウバエ神経筋接合部におけるHSPG結合蛋白質の解析をさらに進める。前者に関しては、神経細胞移動に寄与するCSPGのコア蛋白質の同定を試みる。また、子宮内胎仔電気穿孔法を用いて、各種コンドロイチン硫酸修飾酵素群の過剰発現あるいはノックダウンを行う。本法により、新生ニューロンが合成するコンドロイチン硫酸の構造を改変し、その振る舞いに対する効果をタイムラプス観察により解析する。これらの解析により、神経細胞移動や極性変化に寄与するCSPGコア蛋白質およびコンドロイチン硫酸特異構造を明らかにする。後者に関しては、各種ヘパラン硫酸修飾酵素群をGal4-UASシステムを用いて筋肉あるいは運動ニューロン特異的に過剰発現あるいはノックダウンする。このようにして筋肉あるいは神経細胞が合成するヘパラン硫酸の構造を変化させた場合に、HSPG結合蛋白質の構成がどのように変化するかをプロテオーム解析により明らかにする。 平成27年度は、大脳皮質におけるHSPGの機能解析、及び、ショウジョウバエ神経筋接合部におけるCSPG結合蛋白質の解析を開始し、HSPGとCSPGの機能的連関について探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品として購入予定であった薬用冷蔵ショーケースは、本研究所他部門より譲り受けることができたため購入せず、約60万円分の余剰が生じた。また、実験補助員の人件費として約50万円を計上していたが、適任者が見つからなかったため、その分、未使用となった。また、本年度は、論文投稿料および別刷り印刷費が不要となったため、約30万円の余剰が生じた。 設備備品費として100万円(恒温振盪培養器)、消耗品費として50万円(試薬類)、人件費として60万円(実験補助)、その他(論文投稿費等)に30万円用いる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Structural and biochemical characterization of O-mannose-linked human natural killer-1 glycan expressed on phosphacan in developing mouse brains.2014
Author(s)
Morise J, Kizuka Y, Yabuno K, Tonoyama Y, Hashii N, Kawasaki N, Manya H, Miyagoe-Suzuki Y, Takeda S, Endo T, Maeda N, Takematsu H, Oka S
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Journal Title
Glycobiology
Volume: 24
Pages: 314-324
DOI
Peer Reviewed
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