2014 Fiscal Year Research-status Report
RNA編集様式の亜種間差を利用したエネルギー代謝関連・量的形質遺伝子の探索
Project/Area Number |
25430097
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
高田 豊行 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (20356257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エネルギー代謝表現型 / 遺伝子発現 / RNA編集 / マウス亜種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マウス汎用近交系C57BL/6J (B6)系統および日本産野生由来MSM/Ms系統から樹立されたマウス亜種間コンソミック(染色体置換)系統を利用して、血中コレステロール値などのエネルギー代謝表現型に特徴のある系統を対象にして、「翻訳されるタンパク質に変化をもたらすRNA編集の亜種間差」の当該系統における探索や、表現型との関連を解析することである。 本年度は、昨年度に行ったエネルギー代謝表現型に違いのあるコンソミック系統について、RNA-Seq解析により得られた結果の2次解析を行った。データは、平成25年度に新学術領域研究「ゲノム支援」に支援を受け解析を行った、MSM、B6およびコンソミック系を含む計4系統の10週齢、雌雄6頭ずつ、合計24頭分のサンプルのものである。データ解析は、国立遺伝学研究所DDBJのスーパーコンピュータなどにおいて行った。解析は、各系統内の雌雄、あるいは系統間で発現量に差のある遺伝子群の抽出を行った。いくつかの遺伝子については結果の検証を開始した。さらに、リファレンスのB6配列、ならびにMSM配列とB6およびMSMの配列を比較し、リファレンスと解読したcDNA間のSNPについて、これをRNA編集感受塩基の候補として探索した。RNA-Seq解析に使用した個体以外についても、表現型の生理学的形質の観察を行い、各種表現型解析のデータ拡充を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画を遂行するにあたって、解析対象のマウス系統である一部のコンソミック系統の繁殖困難が原因で、データ生産および遺伝子発現解析試料に必要な個体の確保に遅延が生じたが、新学術領域研究「ゲノム支援」に迅速にデータ解析を行っていただくことができ、平成26年度のはじめには、情報解析を開始することができた。また、2次解析に関しては、新潟大学工学部情報工学科、阿部博士の協力を得ることができている。平成26年度中に、情報解析として、遺伝子発現差やRNA編集感受塩基の候補をあげることができ、一部については他の解析系による検証も開始した。RNA編集感受塩基の候補については、リファレンスゲノムの品質の関係でMSM系統の解析結果で擬陽性が疑われる結果があるので、これをいかに少なくするかを検討中である。そのため、最終的なRNA編集感受塩基の集計等については、次年度に行う。RNA-Seq解析は各系統の雌雄各3頭分のデータであるが、表現型解析には十分といえないと考えるので、表現型データの拡充を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果を使用して、いくつかのRNA編集感受座位の候補を得ているが、別プロジェクトで国立遺伝学研究所のMSM系統のリファレンスゲノムの品質改善を行っているため、これを参考にした解析により、さらなる結果の品質向上が期待されるので、最終年度にコンソミック系統を含めた合計4系統の解析結果を集計する。いくつかの遺伝子については、遺伝子発現差や表現型の違いと結びつけるためのトランスジェネシス実験あるいはコンジェニック系統を用いた表現型レスキュー実験を検討している。特に、これまで計画していたBACクローンを用いたレスキュー実験は、効率を考えCRISPR-Cas9システムに変更予定である。
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