2014 Fiscal Year Annual Research Report
点突然変異アリル群からポストノックアウト時代の疾患モデルマウス開発を目指して
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25430100
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村田 卓也 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 開発研究員 (70305001)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不妊 / 疾患モデル / 内性器 / Wnt / ENU / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマにおいて、ENUミュータジェネシスで得られた約一万系統のマウスアーカイブの中から、βカテニン遺伝子にC429Sミスセンス変異を持つマウスについて解析を重ねた。変異マウスでは、オスメスとも自然交配では不妊ではあった。不妊の原因は、オスにおいては精嚢、メスにおいては膣の異常であることがわかった。生殖器という性分化を起こした、オスとメスで全く異なる器官で形態形成異常が起こる原因は、主にオスの内性器を作るウォルフ管の尾部先端部がオスメスともに過形成になっているという共通性が認められた。このことにより、オスにおいてはオスの精嚢腺が過剰分岐となり精嚢の重複化が起こった。一方メスは、本来消滅すべき尾部側ウォルフ管が過剰に伸張し、間接的に膣の伸張を妨げることにより膣形成不全となった。卵子の以上を伴わない膣形成不全には、ロキタンスキー症候群がヒトの疾患で知られており、ヒト原因遺伝子とβカテニンの関係性を調べる必要性がある。 ウォルフ管の形成異常とβカテニン遺伝子との関連性を調べるために、TOPGALレポータートランスジェニックマウスとのコンパウンド変異体を解析した。βカテニンは、細胞外シグナル伝達分子Wnt経路の下部に位置し、Wntシグナルがオンの場合には、細胞内での分解反応が抑制されて核へタンパク質が移行し、下流遺伝子の転写を制御する。TOPGALレポーターは、Wntシグナルがオンの時にレポーター遺伝子の転写が活性化する。コンパウンド変異体においてTOPGAL遺伝子の発現を調べたところ、ウォルフ管尾部においてオスメスともに強く発現が活性化されていた。従って、βカテニン遺伝子の異常は、何らかのメカニズムでウォルフ管尾部でのみWntシグナルを活性化し、その結果、ウォルフ管尾部の形成異常を通じて精嚢・膣という内性器の携帯以上を引き起こし、結果不妊となっていることがわかった。
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Remarks |
所属研究機関が作成した、日本語版および英語版のプレスリリース。プレス発表により国内メディア6社、国際メディア3社の紙面に掲載された。
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Research Products
(8 results)