2013 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞死に伴い集積する腫瘍随伴マクロファージの機能解析
Project/Area Number |
25430117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
西躰 元 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (60509941)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロファージ / 遺伝子組換えマウス / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
悪性腫瘍は免疫系からの攻撃を免れているが、その免疫抑制状態の維持に、腫瘍に随伴するマクロファージが関与していることが近年報告されている。しかし宿主由来のマクロファージが何故腫瘍に浸潤し、増殖を助ける性質を持つに至るのかは不明である。我々は、マクロファージが死細胞を貪食し、免疫抑制を誘導する性質が腫瘍の増殖に利用されている可能性を考え、腫瘍細胞死誘導後の腫瘍随伴マクロファージの変化を調べた。その結果、腫瘍細胞死誘導に伴い免疫抑制性マクロファージのマーカー遺伝子を発現するマクロファージが腫瘍へ集積することを見出した。次に我々は腫瘍細胞死によって集積するマクロファージ特異的に発現している遺伝子プロモーターの下流にヒトジフテリア毒素受容体を発現させるノックインマウス(DTRマウス)を作製した。皮下腫瘍を形成させたDTRマウスにおいて腫瘍細胞死誘導後、ジフテリア毒素(DT)を腹腔投与することで腫瘍に集積するマクロファージが特異的に消失することを確認した。次にマクロファージの腫瘍増殖への影響を調べるため、皮下腫瘍を形成させたDTRマウスにおいて腫瘍細胞死誘導後、持続的にDTを投与し腫瘍の再増殖を調べた。その結果、DTを投与したマウスにおいて腫瘍再増殖の抑制が見られた。以上のことから、腫瘍細胞死によって集積するマクロファージが腫瘍の再増殖を促進している可能性が示唆された。現在マクロファージによる腫瘍再増殖促進の分子メカニズムを解明するため、定量PCR法およびELISA法により解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的である、腫瘍随伴マクロファージの機能解析について、各種ノックインマウスを用いることによりおおむね順調に解明が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに腫瘍細胞死に伴って集積するマクロファージが、腫瘍の再増殖を促進する可能性を示唆する結果が得られている。よって今後はマクロファージによる腫瘍再増殖促進の分子メカニズムを定量PCR法およびELISA法等により解明する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度において、マイクロアレイや外部研究受託など高額が費用を要する研究があるため一部繰り越した。 腫瘍随伴マクロファージによる腫瘍再増殖促進分子メカニズム解明を目的とした、マイクロアレイやサイトカインアレイといった網羅的な解析に使用する。
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