2013 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答を制御するミトコンドリア機能調節分子の探索と機能解析
Project/Area Number |
25430120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
國政 和宏 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 特任研究員 (50534020)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん微小環境 / 小胞体ストレス応答 / ミトコンドリア / グルコース飢餓 / UPR |
Research Abstract |
腫瘍組織は、大量のグルコース消費や未成熟な血管網により、グルコース飢餓や低酸素等の特殊な微小環境ストレスに曝されている。がん細胞は、こうしたがん微小環境ストレスが誘導する小胞体への異常タンパク質の蓄積を軽減するために、小胞体ストレス応答(unfolded protein response; UPR)を誘導する。そこで、本研究課題は、がん微小環境ストレス選択的な治療法の確立に向け、新たなUPR制御分子の探索及びその機能を明らかにすることを目的としている。 本年度は、「ミトコンドリアはグルコース飢餓等のがん微小環境ストレスが誘導するUPRのメディエーターである」という仮を基に、UPRを促進又は抑制するミトコンドリア機能調節分子の探索を進めた。具体的には、ミトコンドリアの(a)小胞体とのクロストーク、(b)ユビキチンリガーゼ、(c)形態変化、 (d)品質管理等を制御する分子に着目し、グルコース飢餓等の小胞体ストレス下で選択的に細胞死を誘導するsiRNAのスクリーニングを行った。その結果、HT1080細胞において、4つのsiRNAが小胞体ストレスへの感受性を増強することを確認した。そのうち一つのsiRNAに関して、マイクロアレイ解析を行った結果、これまでのUPR阻害剤とは違う遺伝子発現変動パターンを示すことを見出した。この知見は、新しいUPR制御機構の存在を示唆するものと考え、現在、情報解析を駆使して、その作用分子機序の解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ミトコンドリアの(a)小胞体とのクロストーク、(b)ユビキチンリガーゼ、(c)形態変化、 (d)品質管理、等の制御分子に対するsiRNAとグルコース飢餓やその他の小胞体ストレッサー(tunicamycinやvelcade等)で処理したHT1080を用いて、新規UPR制御分子候補をスクリーニングし、さらにヒットsiRNAのがん種選択性を検証することを主計画としていた。siRNAスクリーニングは計画通り本年度で終了し、現在はヒットsiRNAのがん種選択性をJFCR39細胞系(39種類のがん細胞株パネル)を用いて検証中である。また、同時にマイクロアレイ等の遺伝子発現解析を駆使して、その作用メカニズムの解析にも取り組み始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
各ヒットsiRNAのがん種選択性をJFCR39細胞系(39種類のがん細胞株パネル)を用いて検証し、最適ながん種または細胞株を複数選定する。また、これまでのUPR阻害剤との類似点や相違点を明らかにすることに注力しつつ、マイクロアレイ等の遺伝子発現解析及びwestern blotting等分子生物学的な手法を駆使して、それぞれの作用メカニズムの解析を進める。
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