2015 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達と転写制御を結ぶ白血病原因遺伝子TRIB1の解析
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25430121
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
横山 隆志 公益財団法人がん研究会, 発がん研究部, 研究員 (00535833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Trib1 / Hoxa9 / C/EBPα / Bcl11a / 白血病 / 転写因子 / ノックアウトマウス / レトロウィルス挿入変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病におけるTrib1のHoxa9との協調作用について調べるため,Hoxa9によって不死化した細胞をTrib1 KOマウス由来 (null) と野生型マウス由来 (low) の造血細胞より作製し,さらにTrib1を強制発現した細胞 (high) のHoxa9のDNA結合領域と,Trib1 nullにおけるC/EBPaのDNA結合領域をそれぞれChIPシークエンスにより解析し比較を行った.Hoxa9のDNA結合領域はそれぞれ5153 (hi), 1764 (low), 3081 (null) か所あり,3者で共通の結合領域は1106か所であった.Trib1 nullにおいてHoxa9とC/EBPaの結合領域は1862か所でオーバーラップしていたが,このうち606か所はTrib1 hi消失し,一方で766か所の新たなHoxa9結合領域が見られた.これらの結果からHoxa9とC/EBPaのDNA結合領域はしばしばオーバーラップしており,Trib1はC/EBPaの分解を介してHoxa9の転写機能を修飾し,標的遺伝子の発現を制御している可能性が示唆された. 次にChIP-SeqによるHoxa9のDNA結合ピークの近傍遺伝子の中から,マイクロアレイ解析の結果Trib1 hiとnullで1.5倍以上発現に差の見られる遺伝子をピックアップした.これらHoxa9標的遺伝子の候補のうち,Erbb3, Kit, Cd34, Cd44, Cdk6およびE2f3はTrib1によって発現誘導され,一方でIdh1, Tet2およびVcam1はTrib1によって発現抑制されることが明らかになった.これらの結果から,Trib1はC/EBPaの分解によるHoxa9の転写機能の修飾やC/EBPa標的である癌抑制遺伝子の発現抑制により,細胞の増殖や細胞周期の亢進を誘導する可能性が考えられた.
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Research Products
(5 results)