2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25430122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北爪 しのぶ 独立行政法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 副チームリーダー (80301753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | α2,6-シアル酸 / 血管新生 / 腫瘍血管新生 / 血管内皮細胞 / PECAM / VEGF / レクチン |
Research Abstract |
本申請者らは最近、N型糖鎖の末端に付加しているα2,6シアル酸を欠損したマウス(ST6Gal Iノックアウトマウス)では腫瘍内血管新生がコントロールマウスに比べて著しく減退していることを見出した。そこで本研究課題「では、血管内皮細胞のα2,6-シアル酸修飾が腫瘍内血管形成にどのような影響を与えるのか、血管内皮細胞の増殖や増殖因子に対する反応性にどのような影響を与えるか明らかにし、その変化の背景にある分子メカニズムの詳細を明らかにすることを目的として、研究を行っている。 具体的には、本研究でα2,6-シアル酸付加が腫瘍血管新生を促す分子メカニズムを明らかにするために、i) α2,6-シアル酸欠損マウスにおいて腫瘍内血管形成が有意に減退しているか否か明らかにすること、ii) 腫瘍血管新生における要となっているVEGF-VEGFR2 伝達経路に変化が起きているか否か確認すること、iii) α2,6-シアル酸がPECAMを含むメカノセンサー複合体にどのような影響を与えているのか解析することである。 今年度は、i)およびii)に関しては、α2,6-シアル酸が欠損する血管内皮細胞を、野生型の血管内皮細胞と比べることで、細胞表面の膜タンパク質の局在が異なっていること、VEGFに対する反応性が異なることなどを明らかにしており、さらに詳細なデータ集を行っているところである。Iii)に関しては、PECAMがα2,6-シアル酸を含む糖鎖に対して高い親和性を持つ、レクチン様分子であることを明らかにした。PECAM-PECAMホモフィリックな相互作用をα2,6-シアル酸を含む糖鎖が抑制するのみならず、PECAM固相化ビーズにα2,6-シアル酸を含む糖鎖の蛍光クラスタープローブが結合することも明らかにした。PECAM自身がα2,6-シアル酸を持つバイアンテナ形N形糖鎖を持つことも明らかにした(J. Biol. Chem.in revision)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、α2,6-シアル酸修飾が腫瘍内血管形成にどのような影響を与えるのか、血管内皮細胞の増殖や増殖因子に対する反応性にどのような影響を与えるか明らかにし、その変化の背景にある分子メカニズムの詳細を明らかにすることを目的として、研究を行っている。昨年度は、シアル酸修飾が血管内皮細胞に生存シグナルを伝えている背景として、接着分子PECAMがシアル酸を認識するレクチン機能を持っていること、これによりPECAM同志がホモフィリックな相互作用していることを初めて明らかにし、その性状解析を行い、J. Biol. Chem.に投稿し、リバイスのための実験を行っている段階であり、2ヶ月以内に投稿出来る見通しである。 また、腫瘍血管新生に与える影響として血管内皮成長因子受容体(VEGFR2)に与える影響の解析を行っており、今年度中に論文として報告できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、野生型およびST6Gal I欠損マウスからそれぞれ血管内皮細胞を単離し、不死化を終えてストックを行っている。これらの細胞を用いてVEGFR2の機能を見るために、VEGFに蛍光標識を施し、これを細胞に添加して、VEGFの取り込みを比較解析する。また、VEGFを添加した後にVEGFR2がエンドサイトーシスしてシグナルを細胞に伝えている様子を比較解析する計画である。本研究者は、野生型およびST6Gal I欠損マウスにルイス肺癌細胞を注射して腫瘍の増殖におおきな違いが出てくること、このときの腫瘍内血管新生に違いが出てくることを既に明らかにしている。この機構の背景として、PECAM-VEGFR2の複合体の挙動の違いを挙げることが出来ると考えており、これらの結果をまとめてハイランクの雑誌に投稿したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度予算の一部を次年度に繰り越した理由は、前年度と今年度の実験内容が異なるためである。前年度は、血管内皮細胞に発現する接着分であるPECAMがα2,6-シアル酸を含む糖鎖に結合するレクチンであることを示すため、主として生化学的なアプローチを使い、共同研究者から合成糖鎖を分与して頂き、多くのデータを得ることが出来た。今年度は、野生型およびST6Gal I KOマウスから血管内皮細胞を単離し、培養をするためのコストがかかると予想して、繰り越しを行った。 マウスから磁気ビーズおよび血管内皮細胞特異的な抗体を用いて血管内皮細胞を単離した後、エンドセリアルマイトージェンを添加した培地で培養を数回繰り返した後、Amaxaでウイルス因子を導入して不死化操作を行う。このようにして得た細胞を用いて、PECAMやVEGFRの挙動を解析していく計画である。また、論文を投稿した後は、レフリーの要求に応えるため、マウスを使った実験を追加で行う可能性もあると考えている。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Loss of branched O-mannosyl glycans in astrocytes accelerates remyelination.2013
Author(s)
K. Kanekiyo*, K. Inamori*, S. Kitazume*, K. Sato, J. Maeda, M. Higuchi, Y. Kizuka, H. Korekane, I. Matsuo, K. Honke, and N. Taniguchi
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Journal Title
J Neurosci.
Volume: 33
Pages: 10037-10047
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification of Ectonucleotide Pyrophosphatase/Phosphodiesterase 3 (ENPP3) as a Regulator of N-Acetylglucosaminyltransferase GnT-IX (GnT-Vb)2013
Author(s)
H. Korekane, J. Y. Park, A. Matsumoto, K. Nakajima, S. Takamatsu, K. Ohtsubo, Y. Miyamoto, S. Hanashima, K. Kanekiyo, S. Kitazume, Y. Yamaguchi, I. Matsuo, and N. Taniguchi
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 288
Pages: 27912-27926
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Solubule smyloid precrsor protein 770 is secreted in a O-glycosylated form from inflamed endothelial cells
Author(s)
Shinobu Kitazume, Akiomi Yoshihisa, Takayoshi Yamaki, Masayoshi Oikawa, Yuriko Tachida, Kazuko Ogawa, Rie Imamaki, Yoshiaki Hagiwara, Noriaki Kinoshita, Yasuchika Takeishi, Nobuhisa Iwata, Takaomi Saido, Naomasa Yamamoto and Naoyuki Taniguchi
Organizer
Glyco22
Place of Presentation
中国・大連
Invited
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