2015 Fiscal Year Annual Research Report
がん関連糖鎖と免疫細胞の相互作用によるがん微小環境調節機構の解明
Project/Area Number |
25430123
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高宮 里奈 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70365419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 和明 熊本大学, その他の研究科, 教授 (30525457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖抗原 / がん微小環境 / 低酸素 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
Sialyl-Tn糖鎖抗原を持つタンパクの1つにがん幹細胞マーカーであるCD44が検出されたため、今年度はまず、CD44の機能に着目し検討を行った。ヒト肺がん細胞株(H157)細胞フローサイトメーターを使用検討より、sialyl-Tn糖鎖抗原高発現H157細胞では、mockH157細胞に比べ細胞表面のCD44の発現が亢進していた。最近、CD44のスプライスバリアント(CD44v)がシスチントランスポーターを安定化させグルタチオン合成を亢進させる事が報告されている。そこで、CD44vの発現を検討したが、mock、sialyl-Tn糖鎖抗原高発現H157細胞ともに、CD44vの発現に影響は認められなかった。また、還元型、酸化型グルタチオンの細胞内の量もsialyl-Tn糖鎖抗原高発現H157細胞はmockと同程度であった。次に、酸化ストレスに対する耐性をみるため過酸化水素付加実験をおこなった。sialyl-Tn高発現H157細胞は、mockに比べ優位に過酸化水素に対する耐性が亢進していた。そこで、最近がん細胞の酸化ストレスに対する耐性には、Nrf2の恒常的な発現が関与する事が報告されている。そこで、核内のNrf2 の蓄積について検討したところ、sialyl-Tn糖鎖抗原高発現H157細胞はmockに比べてNrf2の核内での蓄積が亢進し、さらにその下流にあるheme oxygenase(HO)-1の発現も亢進していた。以上の結果より、sialyl-Tn糖鎖抗原は、がん幹細胞マーカーであるCD44上に発現しその細胞表面での発現を亢進させていた。また、sialyl-Tn高発現H157細胞は、Nrf2-HO-1の発現を亢進させる事により酸化ストレスに対する耐性を獲得していることが示唆された。
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