2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーを用いた腎がん固有抗原の同定と個別化がん免疫治療の開発
Project/Area Number |
25430148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 博和 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80597782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 春喜 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10272577)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80273358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎がん / 次世代シーケンス / ミスセンス変異 / 変異ペプチド / MHC class I 結合予測法 / アフィニティ / 免疫反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個々の腎がんにおける遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と個別化がん免疫治療の開発である。手術で切除された腎がん組織より、次世代シーケンサーとMHC class I 結合予測法を用いて、腫瘍細胞に発現する免疫原性の高い固有抗原を予測する。その予測した抗原が、実際に生体内で免疫反応を起こしているかどうかの検証を行い固有抗原の同定を行う。 腎がんの解析に先立ち、既に当院でがん組織のがん部と非がん部(コントロール)の両方がセットで入手可能であった膵神経内分泌腫瘍(NET)6例と膵がん組織5例を用いて次世代シーケンスを行い、ミスセンス変異を同定した。MHC class I 結合予測法で、ミスセンス変異由来の候補エピトープ(IC50<500)をNETでは1例当たりでは平均31個(6-50個)、膵癌では平均53個(11-116個)予測できた。候補エピトープの数が一番多かった膵がんPK002でHLA-A2拘束性の候補エピトープペプチドを作成して、それらをHLA-A2トランスジェニックマウスに免疫し、変異ペプチドに対する免疫反応が誘導可能か検証した。44個の変異ペプチドを合成し、5個ずつのプールでマウスに2回免疫した。最終免疫から2週間後の脾臓細胞を使って、それぞれの変異ペプチドに対する反応性をELISPOT法および細胞内IFN-g染色法で調べた。44個のペプチドのうち12個で陽性反応が見られた。 腎がんにおいては、手術組織を収集し、がん部と非がん部(コントロール)の両方がセットで入手可能であった9例においてエクソームシーケンスとRNAseqを行った。エクソームシーケンスの結果、ミスセンス変異は平均46個(13-67個)認めた。現在、膵癌で構築した抗原同定システムを利用し、ミスセンス変異由来のT細胞エピトープを同定しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京大学医学部遺伝子解析研究倫理審査委員会において、「個々のがんの遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と腫瘍内微小環境の解析に基づく免疫制御法を組み合わせた個別化がんワクチン治療の開発」の承認を得て(G3545)、がん部と非がん部(コントロール)の両方がセットで入手可能であった腎がん9例においてエクソームシーケンスとRNAseqが終了した。抗原同定システムに関しては、膵癌で次世代シーケンスとMHC class I 結合予測法を利用して固有抗原同定システムを構築し、これらの候補となる変異ペプチドを合成し、それらが実際に免疫反応を起こすか検証も行うことができた。 腎がんにおいても、全エクソームシーケンスと全RNA シーケンスデータから、MHC class I 結合予測法を用いて、腎がんの候補となる固有抗原を選出し、免疫反応の検証を行う。膵がん、膵神経内分泌腫瘍(NET)で行なった方法をそのまま腎がんに応用することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌で構築した固有抗原同定システムおよびその検証法を使い腎がん9例から固有抗原を同定する。腎がんでどれくらいの数のミスセンス変異が存在し、その中でMHC class I結合予測法によるアフィニティが高いものが何個あり、そのうちいくつの変異ペプチドが免疫原性をもっているか、特にHLA-A2の候補エピトープをHLA-A2トランスジェニックマウスを用いて検討する。そして何個の変異ペプチドを使った免疫治療が可能であるかなどを検討する。本研究期間内に、将来腎がんにおいて個別化がん免疫治療を行っていく準備段階としての基礎的データを得る。
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Research Products
(4 results)