2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シーケンサーを用いた腎がん固有抗原の同定と個別化がん免疫治療の開発
Project/Area Number |
25430148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 博和 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80597782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 春喜 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (10272577)
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80273358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎がん / 固有抗原 / ネオアンチゲン / 次世代シーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個々の腎がんにおける遺伝子変異に基づく固有抗原の同定と個別化がん免疫治療の開発である。次世代シーケンサーとMHCクラスI 結合予測法を用いて、腫瘍細胞に発現する免疫原性の高い固有のネオアンチゲンを同定するシステムを構築した。 当院の腎がん97症例の次世代シーケンスのデータを用いて、患者の変異の数、さらにHLAに結合する親和性の高い候補ネオアンチゲン (IC50<500) の数をクラスI結合予測アルゴリズムで決定した。腫瘍特異的変異の数と予後との間に相関はなかったが、候補ネオアンチゲンの数を中央値でhigh、lowに別け、さらに、全RNAシーケンスのデータからHLAの発現を中央値でhigh、lowに別け全生存期間を検討したところ、ネオアンチゲンの数が多くHLAの発現が高い集団は、ネオアンチゲンの数が少なくHLAの発現が低い集団に比べて全生存期間が延長する傾向があった。また、ネオアンチゲンの数が多くHLAの発現が高い集団では、腫瘍内のCD8、パーフォリン、グランザイムの発現が高く、腫瘍内に強い抗腫瘍免疫応答が誘導されていた。これらの遺伝子発現と予後とに相関はなかったが、CTLA-4、PD-1といった免疫チェックポイント分子の発現と相関しており、免疫抑制を引き起こしていることが考えられた。 これらのデータは、腎がんにおいてネオアンチゲンに対する免疫応答が予後に関与している可能性を示しており、また、一部の腎がん患者が免疫チェックポイント阻害剤に感受性を示すという事実を裏付けている。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Identification of Individual Cancer-Specific Somatic Mutations for Neoantigen-Based Immunotherapy of Lung Cancer.2016
Author(s)
Karasaki T, Nagayama K, Kawashima M, Hiyama N, Murayama T, Kuwano H, Nitadori J, Anraku M, Sato M, Miyai M, Hosoi A, Matsushita H, Kikugawa S, Matoba R, Ohara O, Kakimi K, Nakajima J.
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Journal Title
J Thorac Oncol.
Volume: 11
Pages: 324-333
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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