2015 Fiscal Year Research-status Report
パルミチン酸誘導体を使った大腸がん前臨床試験への展開
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25430154
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
酒々井 眞澄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30347158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パルミトイルピペリジノピペリジン / 抗がん剤 / 大腸がん / 用量効果 / 大腸異常陰窩巣 / 大腸前がん病変 / 発がんプロモーション / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
特許登録(特許第5597427)された化合物パルミトイルピペリジノピペリジン(PPI)について、前年度の成果を背景に(1)大腸発がんプロモーション抑制効果の再現性確認、(2)転写因子STAT3活性への影響解析、血管新生抑制効果を検証した。雄F344ラットに発がん剤アゾキシメタンを皮下注射し2および10 mg/kg用量のPPIを10日毎に計4回腹腔内投与し、大腸異常陰窩巣(aberrant crypt foci, ACF)の発生抑制効果を調べた。高用量群で22%発生抑制(Bonferroni/Dunnet’s test, P<0.05)、4個以上のcryptを含むACFでは用量依存性の発生抑制効果がみられた(Pearson’s test, P<0.01)。実験期間中(実験第0~7週)にPPI投与に伴う有意な体重減少はなかった。実験終了時においてPPI投与に伴う相対肝重量および大腸の平均長に有意な変化はなかった。サイズが大きいACFは増殖能が高く、異形度も高いこと、PPIは4個以上のcryptを含むACFの発生を有意に抑制したことを考慮するとPPIは、より増殖能が高く、悪性度が高い細胞集団を標的にしやすいと考えられる。ヒト大腸がん細胞株HCT116,SW837,SW480に0.6~5μMのPPI添加しSTAT3転写活性阻害をluciferase assayにて測定した結果、用量依存性に最大でそれぞれ64, 74, 95%の阻害効果がみられた。鶏卵漿尿膜法(chorioallantoic membrane (CAM) assay)にてPPIの血管新生抑制効果を調べた。0.2, 1.0, 5.0μMのPPIばく露により血管数、血管分岐数、血管長ともに用量依存性に最大で65, 67, 53%の抑制効果を認めた。さらに、マウスゼノグラフトモデルにてPPIの腹腔内投与にて移植腫瘍中の血管数の有意な減少を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)ラージスケールでの合成したPPIを用いてラットACF発生抑制効果を検証し、用量依存性の抑制効果の再現性が得られた。(2)。Transient transfection luciferaseアッセイにて転写因子STAT3活性阻害効果を見出した。さらに、CAMアッセイとマウスゼノグラフトモデルにて血管新生抑制効果を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大腸発がん抑制効果をみるためにアゾキシメタンを皮下投与し大腸腫瘍(腺腫瘍、腺がん)の発生数、サイズ、悪性度を指標に抑制効果を検証する。(2)これまでの研究でPPIはがん細胞の pSTAT3 の発現レベルを低下させた。これはPPIの作用機序に2つの可能性があることを示している。つまり、(a)ダイマー形成阻害→単量体ではリン酸化を受けない、(b)細胞膜に存在する受容体型 JAK が単量体にリン酸化を付加できない。(a)ではSTAT3のダイマーと単量体の存在量を比較する。(b)ではSTAT3と受容体型JAK-STAT3複合体の存在量を比較することで証明できる(プルダウンアッセイ、ウェスタン)。PPIとピペリジン環中のN(窒素)原子の求核性を高めたプロトタイプ化合物のpSTAT3発現レベルへの影響を比較する。リン酸化阻害がプロトタイプ化合物>PPIであればリン酸化阻害が腫瘍選択性を規定する因子のひとつと考えられる。
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Remarks |
1.特許第5237884号、抗がん剤、取得2013年4月5日、発明者および権利者:酒々井眞澄、飯沼宗和 2.特許第5597427号、抗がん剤、出願2013年1月15日、取得2014年8月15日、発明者および権利者:酒々井眞澄、飯沼宗和 3.特願2015-070424、抗がん剤、出願2015年3月30日、発明者:酒々井眞澄、飯沼宗和、出願人:公立大学法人名古屋市立大学、日油株式会社
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[Journal Article] C5a inhibitor protects ischemia/reperfusion injury in rat small intestine.2015
Author(s)
Tuboly E, Futakuchi M, Varga G, Erces D, Tokes T, Meszaros A, Kaszaki J, Suzui M, Imai M, Okada A, Okada N, Boros M, Okada H.
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Journal Title
Microbiology and Immunology, Epub
Volume: 60
Pages: 35-46
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Chemokine (C-C motif) ligand 3 detection in the serum of persons exposed to asbestos: A patient-based study2015
Author(s)
Xu J, Alexander DB, Iigo M, Hamano H, Takahashi S, Yokoyama T, Kato M, Usami I, Tokuyama T, Tsutsumi M, Tamura M, Oguri T, Niimi A, Hayashi Y, Yokoyama Y, Tonegawa K, Fukamachi K, Futakuchi M, Sakai Y, Suzui M, Kamijima M, Hisanaga N, Omori T, Hirose A, Kanno J, Nakae D, Tsuda H
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 106
Pages: 825- 832
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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