2015 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病に対するキメラ抗原受容体発現T細胞を用いた免疫遺伝子療法の開発
Project/Area Number |
25430155
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
塚原 智典 自治医科大学, 医学部, 講師 (10362120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶺 謙 自治医科大学, 医学部, 講師 (90316521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 成人T細胞白血病 / 免疫療法 / T細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難治性成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia; ATL)を対象にして、CADM1(Cell Adhesion Molecule 1)抗原やCD30抗原を認識するキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor; CAR)発現T細胞を用いる養子免疫遺伝子療法を開発することを目的とした。これまでの研究で、1)ATL細胞の標的化のため、CADM1及びCD30に対する単鎖抗体を有するCAR遺伝子を搭載したレトロウイルスベクターを作製した。2)ヒトT細胞への遺伝子導入のため、PG13細胞を基にCADM1またはCD30に対するCARを発現する組み換えレトロウイルス産生細胞を作製した。3)レトロウイルスベクターによりCADM1及びCD30に対するCAR遺伝子をヒト末梢血T細胞に導入したところ、CD30に対するCARの細胞表面での発現は50%以上認められたが、CADM1に対するCARの発現は低値であった。そのため、CD30に対するCARを用いて以下の実験を行った。4)CD30単鎖抗体(マウス由来)を保有するCARを発現させたT細胞は、CD30陽性ATL細胞株に対して、殺細胞効果を試験管内で示した。一方、CD30陰性B細胞株に対しては、その活性をほとんど示さなかった。5)CD4陽性T細胞は、ATLの原因ウイルスであるHTLV-Iの標的細胞になり得るため、細胞分画法によりCD8陽性かつCD30に対するCARを発現するT細胞を作成し、それらもATL細胞に対して細胞傷害活性を示した。 以上の結果より、CD30に対するCAR発現T細胞を用いた免疫療法は、ATLに対して有効である可能性が示唆された。
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