2014 Fiscal Year Research-status Report
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25430165
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山田 六平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (30404974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (00254194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 難治性固形腫瘍 / 卵巣明細胞腺癌 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究対象であったPACMA31と同じアナログであるPACMA5が難治性固形腫瘍である卵巣明細胞腺癌(以下OCCA)に対し高い殺細胞効果を示し下記のごとくPDIを凌駕するようなターゲットが見つかる可能性があることがわかったため研究を継続している。OCCAの細胞株は既存の抗がん剤に耐性を示し、paclitaxel, cisplatinに対するIC50は10~100μMであった。一方PACMA5はいずれのOCCA細胞株に対してもわずか1μMでほぼ100%の殺細胞効果を示し、有効な治療薬となりうる可能性が示された。また非がん肝細胞、非がん気管上皮細胞に対しては1μMで殺細胞効果を認めなかった。これはPACMA5ががん細胞に選択的な殺細胞効果を有している可能性を示している。昨年までの研究でPACMA5により既存の抗がん剤では見られない非アポトーシス性の細胞死が誘導されていることが明らかとなった。さらにProtein1(仮称)とPACMA5との特異的結合を同定し、このProtein1(仮称)は上記の細胞死を制御することが知られているため標的タンパクと考え、細胞死のメカニズム解明をおこなっている。またPACMA5腹腔内投与はOCCA腹膜播種モデルに対し腫瘍増殖抑制効果を示し、新たな治療薬の候補となりうる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PACMA5を卵巣癌の中でも既存の抗がん剤に耐性を示す卵巣明細胞腺癌に着目し、5つの細胞株を用いてPACMA5の殺細胞効果を調べたところ、以下の知見を得た。 1. いずれの細胞株に対しても著しく高い殺細胞効果を示した。2.細胞死は既存の抗がん剤によって誘導される細胞死とは全く異なる新しい細胞死であることを阻害剤、蛍光色素による染色で確認した。3.標的タンパクを同定すべく実験を進め、PACMA5とProtein1 (仮称)の特異的結合を確認した。Protein1は上記2の細胞死を制御することが知られている。 4.卵巣明細胞腺癌腹膜播種モデルマウスに対し、PACMA5の腹腔内投与をおこなったところ、腫瘍量は無治療群の1/3に減じることを確認した。 これらの事実はPACMA5が現存する抗がん剤に対して難治性である卵巣明細胞腺癌に対する新たな治療薬になりうると考え、研究を進めていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)PACMA5と結合したProtein1 (仮称)が誘導する細胞死メカニズムの解明 PACMA5処理後の細胞における各種シグナル伝達経路の活性化の有無を検証する。また、Protein1(仮称)と相互作用する分子を網羅的にスクリーニングすることで、細胞死へとつながる下流のシグナル伝達経路の同定を試みる。2)臨床検体におけるProtein1(仮称)の発現①TMA (Tissue Micro Array)を用いて卵巣癌におけるProtein1(仮称)の発現と病期および予後との相関を検討する。②他の難治性固形腫瘍(膵癌など)におけるProtein1(仮称)の発現と病期および予後との相関を検討する。3)既存の抗がん剤との併用効果の検討:さらに高い抗腫瘍効果の有無を検討する目的で治療薬であるpaclitaxel, adriamycin, carboplatinとの併用投与をvitroおよびvivoでおこなう。
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Causes of Carryover |
次年度繰越理由:前述の如く本研究の主眼はPACMA5の標的探索および細胞死誘導のメカニズムの解明となった。細胞死誘導のメカニズム解明にあたり、既に同定済みのProtein1 (仮称)に関連する複数のタンパクを免疫沈降、siRNAで確認する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(使用計画) 次年度使用予定:Protein1(仮称)を標的とした細胞死誘導のメカニズムの解明をおこなうことを目的として免疫沈降抗体、siRNAベクター、shRNAライブラリー、ウエスタンブロットゲル、メンブレン、バッファー、一次抗体、二次抗体、発色液などを購入予定である。
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Research Products
(1 results)